恋を知った塩崎さんがなんか甘い。 〜アイドルだと思っていた推しは、感情ゼロのAIでした〜
「け、研究?」

「はい。オタクの心を理解するための研究です」



どういうことですか?

オタクの心を、研究?



「実は僕、現在ほとんど一文なしでして」

「はあ」

「研究費に全てを注ぎ込みすぎました」



ちょっと待って、大丈夫?

研究費って結構しない?

それに一文なしって……。

どうしよう、心配すぎる!!



「研究のために、頼みたいことがありまして」



どうせ付き合いたいとか言い出すんでしょ

わかってるよ

あーもう腹たつ



「解剖してもよろしいでしょうか?」



は?

カイボウシテモヨロシイデショウカ?

まじで何言ってんのかわかんない。

まず生きてる人間に解剖ってなんだよ。



「生態を研究するには中身を知るのも大切なので。恥辱以外のなんでもございませんが、かいぼ──」

「私帰ります!!!何なんですかあなたは!!!!!」


私は部屋の扉を勢いよく開けて、大きな敷地を飛び出した。


雨が止んで静まりかえった細道を、闇雲に走る。

信じられない。

塩崎さんがあんな生き物だったなんて。

いや、違う。

あれは塩崎さんではない。

塩崎さんは黒髪で、いつもマスクをしていて、眼鏡をしていて、パーカーのフードを被ってて、

パーカー……

あの人の服装もパーカーだった。

もしかしたら、塩崎さんがフードを被っていたのは、ウィッグがバレないため?

顔を見られないため?

やはり塩崎さんで間違い無いのか?


大通りに出た時、嫌な予感がした。

ポケットの中を手探る。

ない

スマホが、ない。

どこに落としたのだろう。

近くには落としていないだろうし、

落としたとしたら音でわかるはずだ。

まさか、

まさか、

いや、それが最悪のパターンだ。


スマホを忘れた場所

それが、『彼』の家だったら──



「探しましたよ、こむぎさん」



後ろから聞こえた破滅の声で、

私は恐怖に溺れていった。
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