恋を知った塩崎さんがなんか甘い。 〜アイドルだと思っていた推しは、感情ゼロのAIでした〜
「流石にお付き合いはできません」

「どうしてですか?僕はいつでも準備できてますが……」



やっぱり不審者だ。

こんな人が宮瀬くんのクローンだなんておかしすぎる。

塩崎さんは大事な常連さんだと思ってたのに。

でも、出禁にするのもかわいそう……

涙が込み上げてくる。



「うっ……どうして……」



私は人目も憚らず咽び泣いた。

ここで出禁にできる勇気もないし

断ってもこうなるし

どうして私はこうなるんだろう。



「どうしましたか?何か辛いことでもありましたか?」



そりゃそうだよね。あなたはAIですから。

人の心とかないんですから。



「教えてください、僕に人の心を」

「無理ですよ……私なんて激情的でめんどくさいやつなんで」



私は声を振り絞った。

すると塩崎さんが近づいてきて

私の髪の毛をさらりと撫でる。



「こむぎさんしかいないんです」



推しの顔で、名前を呼ばれたのはいつぶりだろう。

それがまた懐かしくて、涙を唆る。



「こむぎさんは研究に役立ちそうなので」
< 9 / 10 >

この作品をシェア

pagetop