1度ならず2度までも君に恋をする
「難しいよね、コピー考えるの」

「…どうやって、いつも考えてたか忘れた」


 そう呟くと、真紘くんはデスクチェアの背もたれに深く体を預け、再び重い溜息をつきながらノートパソコンを開いた。

 ここ最近、彼の顔から余裕が消えている。かつては、仕事が忙しくてもどこか穏やかな表情をしていたのに。今の彼は、険しい眉間の皺が消える暇もないほど、自分自身を追い詰めている。

 私は淹れたコーヒーをデスクの端に置くと、そのまま、そっと後ろから腕を回した。


「…仁菜?」


 不意の体温に、彼の体が微かに強張る。
 私は構わず、彼の背中に顔をうずめるようにして抱きしめた。


「…頑張り屋な所、大好きだけど、根詰めすぎないでね。焦ると、良いコピー湧いてこないよ」


 今の彼にとって、この行動にどれほどの意味があるかは分からない。私の言葉なんて、今の彼の苦悩を解消するほどの力はないかもしれない。

 それでも、少しでも、この腕の中にいる間だけでも、張り詰めた彼の心が和らいでくれたらと願い、彼を抱き締めた。

 前に回している私の手を、真紘くんはそっと握り、消え入りそうな声で「怖くなった」と零した。
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