1度ならず2度までも君に恋をする
「まあ、昔の顔馴染みなので、多少の話やすさとかは残ってると思います」


 真紘くんの当たり障りない返答に頷きつつ「佐久間さんは何にしますか?」と話題を変えた。このまま私と真紘くんの話をするのはなんだかよくない気がする。


「俺も生にしようかな。一杯目だし」

「了解です。注文しちゃいますね」


 そう言いながらタブレットを操作し、ひとまず飲み物を3つ頼んだ。タブレットで済むのは手軽で個人的にうれしい。

 タブレットで注文した後、他愛のない話をしながら待っていると飲み物と二種類の出汁が運ばれてくる。一種類は昆布出汁で、もう一つはすき焼き出汁。大人な二人は一種類を私に選ばせてくれ、すきやきは完全に私の好みで選んだ。

 一つの容器に卵を割り、卵が入ってきた容器に殻を戻し、もう一つの容器を手に取ると、そのタイミングでポン酢が横から流れてくる。ふと横を見ると真紘くんが渡してきてくれていた。

 あまりにも自然にいいタイミングで流れてきたことに驚いて、すこしきょとんとした表情で彼を見ていた。


「違ったっけ?」

「…違わない」


 そう返事をし、受け取るとそのまま容器に流し込む。

 こんな小さなことで一つ一つ勘違いしそうになって苦しいな~~~~と思いながらも、口には出さず佐久間さんがタブレットで注文しているのを見ていた。
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