1度ならず2度までも君に恋をする
「そうだ、会議通ったお祝いにご飯でも行かない?」

「え?」


 予想もしていなかった言葉に一瞬呼吸を忘れた。

 佐久間さんはそんな私にクスッと笑みをこぼしている。

 同じ部署だった時には、こうして食事に連れてってもらうこともあったが、ここ最近では何か特別なことでもないと、そんな機会はなかった。


「たまには二人でどう?」


 一瞬、どうして急に、と戸惑いが胸をかすめたけれど「はい」と頷いた。この会議が終わるまでの期間、佐久間さんには数え切れないほど助けてもらった為、そのお礼を伝える機会になると思った。


「よかった、金曜日でもいい?」

「はい、楽しみです」

「うん、俺も」


 佐久間さんは頷くと、そのまま夏帆ちゃんのデスクへと向かった。遠ざかる背中を見送りながら、私は当日に渡すお礼は何がいいだろうかと、頭の中で候補を並べ始める。

 二人きりで食事に行くなんて、それこそストプラ局にいた頃以来だと思う。時折、誰かを含め食事に行くことはあったけれど、その機会だって随分少なくなっていた。

 いまだにこうして気にかけてもらえるのは、素直に嬉しい。今回のコピーが通ったのは、佐久間さんの的確な助言があったからこそなのに、自分のことのように喜び、お祝いと称してくれるその懐の深さに、胸の奥がじんわりと温かくなった。
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