俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
「東京にだって、いろんな人間がいるよ。お金を支払うのに時間のかかるおばあちゃんだっているし、やたら店員に話しかけるおじいさんもいる。別に、ぼくらは、慣れてる。

 二十秒程度待たされようが、別にぼくらはどうとも思わない」

 一分や十分だったら別だけどね、と誠治は内心でつけ足した。

「そう言ってもらえて、……ほっと、しました……」やっと、彼女が白い歯を見せる。その笑顔は、思いのほかチャーミングだった。着痩せする胸を押さえるその動きも、誠治は気になってしまった。「一条先輩て、……優しいんですね」

 誠治は、こころのなかで返事をした。

 どんくさいきみを放っておけなかっただけだ。

「いいから、食べよう」誠治は手つかずのハンバーガーを手に取る。彼女はジュースにすら手をつけていない。「きみも、食べよう。これからは、いちいち断りを入れないで食べていいからね。人間関係とは、そういうものだ」

「分かりました」また、笑顔。そうやって笑っていれば結構可愛いのに。

 あと、髪も切れば?

 服の趣味も、どうにかしたら。
< 107 / 259 >

この作品をシェア

pagetop