俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~

■4

 友達を作ることは、恋愛に似ていると一条誠治は思う。


 フィーリングが合わないと駄目なのだ。


 彼は、大学に入るまで、いっさいの友達を作らずに過ごした。作れなかったのだ。クラスでそれなりに喋る相手はいたが、学校を離れて遊んだりなどしなかった。

 裕福な生徒が全員の私立高校に通っていた誠治は、冷淡に周りを見ていた。お手伝いや母親の作る弁当の中身を競い合う、馬鹿げた、スノビーな連中だぞ。

 おれは、誰とも仲良くなんか、ならない。

 彼を、真に理解できる人間は、書籍だけだった。本は、いい。要らぬ邪魔をしない。

 両親と血のつながりがないからといって、排斥したりなどしない。

 差別とも、無縁。もっとも。著者の思考にシンクロできねば、退屈極まりない時間となるわけだが。

 京極夏彦の小説に出会ったときに、真の目が開かれた気がした。腕一本に成り果てた女を愛す男の姿に胸を打たれた。

 自分も、そんな相手に出会いたい。

 しかし、彼が一生を添い遂げる女は、既に決められている。まだ会ったことはない。二十歳になったら一度顔を合わせる約束になっているらしい。
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