俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 綾乃の抱っこひもを見れば「えっらいおしゃれなもんやあるげねえ」とぼやき。おもちゃが多いのを見ては「こんなに買うてもろうて。優ちゃん恵まれとるねえ。感謝せなあかんよう」と物心もつかぬ我が子にかるくお説教をし。

 綾乃の洋服が豊富なのを見ては「あらまー。綾乃ちゃん、子どもて金かかるげから節約せねば駄目やわいね。うちの子んときなんかこんなに()うとらんかったよ」……挙句。沐浴用や日常使うガーゼがたくさんあるのを触るたび、「あたしらんときはこんなんなかったわ。いまの子って恵まれとるんやねえ」

 その女性の台詞は。ただでさえ出産で疲弊し。初めての育児にてんてこ舞いの綾乃の神経を逆なでした。かつ。

「あーら。なしてこんなに泣いとるんげろうねえ。お母さんのおっぱいが足りんがかねえ」――一日中泣き続ける我が子に対してそんな台詞をかける。

 それが、我慢、ならなかった。

 あるとき綾乃は沸点を迎え、とうとう言い返した。「――二週間検診の結果は母子ともに問題なし。お医者さんのお墨付きを貰いました。母乳は充分に出ています。泣くのは――
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