俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
こうして過去を回顧しているあいだにも、彼女の聴覚は絶えず暴力的なまでの泣き声に支配されている。ゆっくり考えごとをすることも許されないのだ。自分のからだがこころが、悲鳴をあげているのを感じられる。この孤独に比べれば。
あのベビーシッターの女性に世話をしてもらうほうが、マシだった。
産後二ヶ月で実家を引き上げたのは。例の女性の小言が鬱陶しかった――それも理由のひとつではあるが。
元の、生活に、戻りたかった。これが、大きな理由だ。
大好きな丈一郎と、最愛の我が子と、また日々を一緒に過ごせる――彼女の、期待感は、強かった。
実家では、半年近く休暇が残っているのだからまだ居たらいいのに、としつこく引き止められた。頻繁な妬み混じりの小言を除けば、ベビーシッターの女性はそれなりにはやってくれた。いまひとりでこうして初めての育児に伴う痛みに孤独に耐えているのを思えば、そばに必ず誰かがいて、優香の抱っこをしてくれるだけでも充分助かった。流石に夜中にミルクを作るのはひとりで行ったが。
なのに。
丈一郎と来たら――、
『……実家に帰って、甘やかされすぎたんじゃねえの?』
あのベビーシッターの女性に世話をしてもらうほうが、マシだった。
産後二ヶ月で実家を引き上げたのは。例の女性の小言が鬱陶しかった――それも理由のひとつではあるが。
元の、生活に、戻りたかった。これが、大きな理由だ。
大好きな丈一郎と、最愛の我が子と、また日々を一緒に過ごせる――彼女の、期待感は、強かった。
実家では、半年近く休暇が残っているのだからまだ居たらいいのに、としつこく引き止められた。頻繁な妬み混じりの小言を除けば、ベビーシッターの女性はそれなりにはやってくれた。いまひとりでこうして初めての育児に伴う痛みに孤独に耐えているのを思えば、そばに必ず誰かがいて、優香の抱っこをしてくれるだけでも充分助かった。流石に夜中にミルクを作るのはひとりで行ったが。
なのに。
丈一郎と来たら――、
『……実家に帰って、甘やかされすぎたんじゃねえの?』