俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~

 勿論、丈一郎のことは大好きだ。彼は、綾乃の固く閉ざした扉を開いてくれた最愛の男だ。彼と関係するまでは、あんなにセックスが気持ちのいいものだとは知らなかった。特に、丈一郎がなかに入ってきて、彼が綾乃の最奥をゆっくりとかき混ぜるあの動きが綾乃は大好きだ。脳髄に響くくらい満ち足りてしまい、どうしようもなく、丈一郎が愛おしくなる。それで、あんまり気持ち良すぎて、立て続けにいってしまい、ひどい時は事後一時間ほどベッドから動けない。寝てしまうことすらある。――丈一郎がきちんと事後処理をしてくれてはいるが。

 果たして、これが異常なのか正常なのか、綾乃には分からない。そのことは綾乃にとって苦しかった。明確な基準が分からないのだ。こと、ひとびとが隠匿するセックスという領域において。

 誰にも打ち明けられない事象を抱えるのは誰しも苦しい。綾乃も、妙齢の女性であるため、そろそろ周りにも結婚する人間が目立ち始め、相手が恵琉でなくとも、そういう話をできないでいる。

 綾乃は、先ず、探りを入れることにした。「……恵琉って、旦那さんと仲いいの?」
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