俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
「こんないい子、ほかにいないなって思ったんだよ」優しく丈一郎が綾乃の頬を包む。彼は、恋に落ちたあの日を思い返しているに違いない。「だから、……その子になんか困ったことがあったときには、必ず力になりたいって思ったんだ」

 勿論それだけじゃない、と丈一郎は補足を加える。「なんてか、……出会った瞬間に、綾乃の純粋な部分に触れた気がしてさ。

 おれもさ。人生それなりにいろいろ経験してきて、まあ、なんつーか、それなりに間違いも犯した。

 知らぬ間に誰かを傷つけるなんてことも、あった。

 でもな。綾乃に触れることで、自分のこころのなかの、綺麗な部分を取り戻せる気が、するんだ」

「けいちゃん……」彼女は、自分の頬に添える彼の手に自分のそれを重ねた。「わたし、……わたしね。

 助けられてるのは、わたしのほうなんだよ、けいちゃん。

 けいちゃんにいっぱい愛されることで、自分の存在価値を信じられるようになったの。

 ただの、そこら辺に転がってる小石と一緒で、どこにでもいるちっぽけな存在でも、誰かの役に立てるんだって、自信が、持てたの……」
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