俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 誰かに対してこんな気持ちを抱くのは、初めてってくらい、綾乃に、惚れてんだ……」

「けいちゃん……」そんなに、丈一郎に好きになってもらう価値が、果たして自分にはあるのだろうか。

 綾乃は、まだ、こころから完全に不安を除去しきれない。

 そんな綾乃に、丈一郎は笑いかける。「……言ってなかったっけ。おれ。

 綾乃に出会ったその日に、綾乃に惚れたの」

 初耳だ。「出会った日って、……けいちゃんが辞書を置いていった、あのとき……?」

「そ」と丈一郎は頷く。「誰かの忘れ物なんか見っけても、事務室かどっかに届けてそれで終わりじゃんよ普通。……いまどき、一時間以上も、見たこともない相手のために待ってられるなんて子、そうはいないよ」

「だって、……年季の入ってる辞書だったし、持ち主が大切にしてるものだって分かったから、もし、あそこから離れてる事務室に届けて行き違いになったら悪いなあって思って……」
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