俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
「……んとに。おまえは」くしゃ、と彼の手が綾乃の頭のてっぺんを撫でる。その彼は綾乃を抱き寄せ、「おまえ、……おれが、どれだけおまえを好きなのか、分かってないわけ……?」

 はあ、と綾乃の髪の匂いを嗅ぎ、彼はため息をつく。

 彼の顔が見えないと、ちょっと綾乃は不安になる。震えている彼は、どうやら、喜びとか憤りとかさまざまな感情を押さえ込んでいるようだった。

 すこし時間をかけたのち。綾乃を抱きしめていた腕をほどくと、彼は、綾乃の頬を両手で挟み込み、「あのなあ、綾乃……、いつ言おうかずっと迷っていたんだけど」

「うん」綾乃には、彼以外のなにものも見えてない。

 真っ黒な、情愛をたたえた男の瞳に囚われ、


「おれは、綾乃とずっと一緒にいたい。

 どちらかが先に死ぬときまで、永遠に」


 短く、熱いくちづけが落とされる。

 瞬間的に閉じた目を綾乃は開いた。「けい、ちゃん……」

「おれと、結婚するの、いや?」

 綾乃の意志を確認するときの彼の訊き方。いつも自信たっぷりな彼が、余裕を失ったのが感じられる。
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