第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
11章
不穏
……やっぱり、気にかかる。
ジョルジュ陛下がディランに向けた、あの瞳。
あれは、
孫を慈しむ目ではなかった。
——ガイルと、同じだ。
私に向けられた、あの視線。
人を見るのではなく、
“物”を見る目。
器としての価値を量り、
中身ではなく、使い道だけを考える瞳。
胸の奥が、ひやりと冷える。
——何か、とんでもないことを考えている。
そんな気がしてならなかった。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
不意にかけられた声に、我に返る。
「アリス……来てくれたんだね」
「はい。
お嬢様が退屈のあまり、
甲冑のそばにあった剣を振り回したと聞きまして」
「……事実だけども」
少しだけ視線を逸らす。
「みんな元気?」
「はい。
ユウリさんも、休暇を終えて戻ってきました」
そう言って、差し出された包み。
「これ、お土産です」
「ありがとう……」
包みを開けると、香ばしい匂いが広がる。
「……美味しそうなクッキー。
……あれ? なんだか、少なくない?」
「毒味は、済んでますので」
何でもないことのように、涼しい顔で言う。
「……そういう問題じゃないんだけど」
思わず、くすっと笑ってしまった。
張りつめていた胸の奥が、
ほんの少しだけ、緩む。
ジョルジュ陛下がディランに向けた、あの瞳。
あれは、
孫を慈しむ目ではなかった。
——ガイルと、同じだ。
私に向けられた、あの視線。
人を見るのではなく、
“物”を見る目。
器としての価値を量り、
中身ではなく、使い道だけを考える瞳。
胸の奥が、ひやりと冷える。
——何か、とんでもないことを考えている。
そんな気がしてならなかった。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
不意にかけられた声に、我に返る。
「アリス……来てくれたんだね」
「はい。
お嬢様が退屈のあまり、
甲冑のそばにあった剣を振り回したと聞きまして」
「……事実だけども」
少しだけ視線を逸らす。
「みんな元気?」
「はい。
ユウリさんも、休暇を終えて戻ってきました」
そう言って、差し出された包み。
「これ、お土産です」
「ありがとう……」
包みを開けると、香ばしい匂いが広がる。
「……美味しそうなクッキー。
……あれ? なんだか、少なくない?」
「毒味は、済んでますので」
何でもないことのように、涼しい顔で言う。
「……そういう問題じゃないんだけど」
思わず、くすっと笑ってしまった。
張りつめていた胸の奥が、
ほんの少しだけ、緩む。