第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
「まずは、礼を言っておこう。弟が世話になっているようだな」
穏やかな声。
けれどその言葉の奥に、静かな探りがある。
「いえ……」
形式的な挨拶のはずなのに、
次に向けられた視線は、さっきより一段深かった。
「恋仲だという話は、本当か?」
一瞬、息が詰まる。
――どう答えるべきか。
曖昧にもできる。
取り繕うこともできる。
けれど、ディランへの気持ちだけはこの人の前で嘘にしたくなかった。
「ディラン殿下のことは……お慕いしております」
短く、しかしはっきりと告げる。
「そうか」
その一言と同時に、
アラン殿下の表情がわずかに緩んだ。
ほんの一瞬。
だが確かに“兄の顔”だった。
「では、聞こう」
静かな声が落ちる。
「ディランの、どこが好きだ?」
胸の奥がきゅっと締まる。
綺麗な言葉なら、いくらでも並べられる。
王子としての資質、優しさ、責任感――
けれど、この人には取り繕いは通じない。
本音を見抜かれてしまう。
そう思った。
「……完璧な王子じゃないところです」
そう答えた瞬間。
「へぇ」
アラン殿下が、珍いものをみるように目を丸くした。
そして、興味深そうに身を乗り出す。
「それは、面白い答えだな」
先ほどまでの重苦しさが、
ほんの少しだけ和らいだ気がした。
穏やかな声。
けれどその言葉の奥に、静かな探りがある。
「いえ……」
形式的な挨拶のはずなのに、
次に向けられた視線は、さっきより一段深かった。
「恋仲だという話は、本当か?」
一瞬、息が詰まる。
――どう答えるべきか。
曖昧にもできる。
取り繕うこともできる。
けれど、ディランへの気持ちだけはこの人の前で嘘にしたくなかった。
「ディラン殿下のことは……お慕いしております」
短く、しかしはっきりと告げる。
「そうか」
その一言と同時に、
アラン殿下の表情がわずかに緩んだ。
ほんの一瞬。
だが確かに“兄の顔”だった。
「では、聞こう」
静かな声が落ちる。
「ディランの、どこが好きだ?」
胸の奥がきゅっと締まる。
綺麗な言葉なら、いくらでも並べられる。
王子としての資質、優しさ、責任感――
けれど、この人には取り繕いは通じない。
本音を見抜かれてしまう。
そう思った。
「……完璧な王子じゃないところです」
そう答えた瞬間。
「へぇ」
アラン殿下が、珍いものをみるように目を丸くした。
そして、興味深そうに身を乗り出す。
「それは、面白い答えだな」
先ほどまでの重苦しさが、
ほんの少しだけ和らいだ気がした。