第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
隅の方では、テオが騎士団員たちに囲まれていた。
「テオ、お前も頑張れよ!」
わしゃわしゃと頭を撫でられ、髪がぐしゃぐしゃになっている。
「そうだ! 最年少の実力、見せたれ!」
「ほんと、やめて。うっとうしい」
そう言いながらも、抵抗はしない。
……意外と、すっかり馴染んでいる。
ふと、テオと目が合った。
「お嬢さまぁ」
「テオ、よろしくね」
「もちろん」
にっと笑って、親指を立てる。
「お嬢様のお願いだもん。任せて」
そして、小さく、けれどはっきりと。
「俺、絶対勝つよ」
「頼もしいな」
そう言って笑うと、テオがこそっと距離を詰め、耳元で囁いた。
「……ねぇ
俺が勝ったら、ご褒美くれる?」
「ご褒美?」
「うん。
お嬢様との時間」
少し首を傾げ、探るような紅い瞳。
「……どう?」
「いいよ」
即答すると、テオは一瞬きょとんとして――
「……やった」
にやりと口元を歪めた。
「その約束、忘れないでね」
紅い瞳が、まっすぐに私を映す。
◇
日が落ち、ランプが部屋を柔らかく照らす。
《魔宝石公式模擬決闘》。
必要書類をすべてまとめ、王国へ提出する予定だ。
「ユウリ、これを」
差し出した書類を、ユウリは丁寧に受け取る。
「かしこまりました。
王国に回しておきます」
「お願いね」
「……いよいよ、ですね」
その一言に、私は小さく息を吐いた。
「うん。
長年の――野望だね」
ユウリが淹れてくれた紅茶に口をつける。
いつもと変わらない味なのに、胸の奥だけが静かに熱を帯びていた。
「テオ、お前も頑張れよ!」
わしゃわしゃと頭を撫でられ、髪がぐしゃぐしゃになっている。
「そうだ! 最年少の実力、見せたれ!」
「ほんと、やめて。うっとうしい」
そう言いながらも、抵抗はしない。
……意外と、すっかり馴染んでいる。
ふと、テオと目が合った。
「お嬢さまぁ」
「テオ、よろしくね」
「もちろん」
にっと笑って、親指を立てる。
「お嬢様のお願いだもん。任せて」
そして、小さく、けれどはっきりと。
「俺、絶対勝つよ」
「頼もしいな」
そう言って笑うと、テオがこそっと距離を詰め、耳元で囁いた。
「……ねぇ
俺が勝ったら、ご褒美くれる?」
「ご褒美?」
「うん。
お嬢様との時間」
少し首を傾げ、探るような紅い瞳。
「……どう?」
「いいよ」
即答すると、テオは一瞬きょとんとして――
「……やった」
にやりと口元を歪めた。
「その約束、忘れないでね」
紅い瞳が、まっすぐに私を映す。
◇
日が落ち、ランプが部屋を柔らかく照らす。
《魔宝石公式模擬決闘》。
必要書類をすべてまとめ、王国へ提出する予定だ。
「ユウリ、これを」
差し出した書類を、ユウリは丁寧に受け取る。
「かしこまりました。
王国に回しておきます」
「お願いね」
「……いよいよ、ですね」
その一言に、私は小さく息を吐いた。
「うん。
長年の――野望だね」
ユウリが淹れてくれた紅茶に口をつける。
いつもと変わらない味なのに、胸の奥だけが静かに熱を帯びていた。