第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
着々と誕生日パーティーが近づいていく中、
目の前のディランが口を開く。

「ティアナ、誕生日パーティーの後でいい。
俺とのデートの約束、忘れていないだろう?」

ニコニコした笑顔に、少し胸がざわつく。

「ええ、忘れてません」

「なら約束だ。
一日空けておいてくれ」

満足げにうなずくディラン。
その横顔に、少しドキッとする自分がいる。

「それより、こんなにのんびりしていていいのですか?」

忙しいはずなのに…
長い足を組み替えながら、優雅に紅茶を口に運ぶ姿が様になる。

「よくないな」

「全く……あなたは」

「こんな俺は嫌いかい?」

「……なんでそうなるんですか」
つい思わず口にする。

「不安になるものだ。
好きな人が、あまりにもあっさりしていると」

そう言われて、胸がぎゅっと締めつけられる。
……そんなつもりはないのに。
でも、どう答えたらいいのか、正直わからない。

恋人……なのか?
擦り寄ったりするものなのか?
戸惑いで頭の中が混乱する。

「君が、俺のことを好きだと言ったら、
おとなしく帰ろう」

「……なんですかそれ?」
少し動揺しつつも、抗えない気持ちがある。

「なら、嫌いか?」
不安げに揺れる瞳が、胸に刺さる。
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