追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
強烈な熱視線だ。
十年前、私から酒巻先輩を奪ったときと同じ目――狙った男性を落としたがっているときの目に見える。
急激に冷えていく心の中で、酒巻さんの隣にいるくせに他の男の人をその目で見つめちゃうんだ、という軽蔑も確かによぎる。
「あの、あたしのことは覚えてらっしゃいませんか?」
可愛くデコレーションしたケーキみたいに甘い声で、姫田さんが鵜ノ崎さんに話しかける。隣の酒巻さんが一蹴された直後によくその声で話を切り出せたな、と鼻白みそうになる。
でも。
「うーん。どこかでお見かけした気がします、確かに」
「あっ、本当ですか!? 姫田雪奈っていいます、あたしも先輩の大学の後輩で……」
鵜ノ崎さんが思わせぶりに考え込む仕種を見せると、途端に姫田さんは湧き立った。
その間、私はハラハラと落ち着かない気分を持て余していた。
鵜ノ崎さんが姫田さんの話に乗ったからではなかった。姫田さんの甘えた声に落ちてしまったのかも、と心配になったわけでもなかった。
『原因の女、柊木はどうしてほしい?』
数日前、クルーズ船に揺られながら耳打ちされた言葉が、鮮明に蘇る。
十年前、私から酒巻先輩を奪ったときと同じ目――狙った男性を落としたがっているときの目に見える。
急激に冷えていく心の中で、酒巻さんの隣にいるくせに他の男の人をその目で見つめちゃうんだ、という軽蔑も確かによぎる。
「あの、あたしのことは覚えてらっしゃいませんか?」
可愛くデコレーションしたケーキみたいに甘い声で、姫田さんが鵜ノ崎さんに話しかける。隣の酒巻さんが一蹴された直後によくその声で話を切り出せたな、と鼻白みそうになる。
でも。
「うーん。どこかでお見かけした気がします、確かに」
「あっ、本当ですか!? 姫田雪奈っていいます、あたしも先輩の大学の後輩で……」
鵜ノ崎さんが思わせぶりに考え込む仕種を見せると、途端に姫田さんは湧き立った。
その間、私はハラハラと落ち着かない気分を持て余していた。
鵜ノ崎さんが姫田さんの話に乗ったからではなかった。姫田さんの甘えた声に落ちてしまったのかも、と心配になったわけでもなかった。
『原因の女、柊木はどうしてほしい?』
数日前、クルーズ船に揺られながら耳打ちされた言葉が、鮮明に蘇る。