追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
 スマホを二台重ねている。
 私に示しているのは、彼女自身のスマホらしい。

 動画みたいだ。
 私の視線が画面へ向いたことを確認してから、彼女は画像の中心に表示された三角のボタンをタップした。

「……え?」

 再生された映像を見つめ、思わず声が漏れる。
 距離の近い男女が映っている。並んで歩くふたりの仕種、特に女性がふらふらと不安定に歩くさまが目につく。ときおり重なり合って見える、明らかに親密な関係にあると分かるふたり――そこまで考え至ってから、ようやく私は息を詰めた。

 鵜ノ崎さんと私だ。
 昨晩、酔ってお持ち帰りされた、というかさせたときの。

 ぞっと背筋が凍りつく。
 どうしてこんなものが撮られている。この人が撮ったのか。まさかもう拡散されているのでは。

 緊張が、急速にせり上がってくる。
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