追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
「あの、こ、これは、どういう」
「これ、あたしです」
「は?」

 意図が分からず、遠慮のない声で尋ね返してしまう。
 気を昂ぶらせながら眉を寄せた私へ、相手の女性はなおも穏やかな笑みを湛えたきり、再び口を開いた。

「あたし、ってことにしてほしいんです。駄目ですか?」

 私と大差ない背丈。私と同じくらいの色と長さの髪。後ろ姿だけなら十分似ていると言えそうな立ち姿を、私はただ呆然と見つめる。
 彼女の言い分は、鵜ノ崎さんと親しげに歩いている女を自分自身に置き換えたいということ。そうとしか考えられない。

 ――つまり、この人は鵜ノ崎さんを狙っている?

 親しげに微笑む彼女の顔に、姫田さんの面影が重なった気がして、ひゅる、と喉が乾いた音を立てて鳴った。
< 201 / 254 >

この作品をシェア

pagetop