追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
 鵜ノ崎さんは、私以外の誰にも、縁談を断っている真の理由を伝えていない。
 彼がそれを打ち明けた相手は私だけ。信頼を感じ、胸が誇らしさで満ちていく。

 ――いやいやいや、だがしかし。

「待ってください。その話と、こっ、恋人というのはどういった関係が」
「協力してほしいんだよ」

 しどろもどろに尋ねた私とは対照的に、鵜ノ崎さんはどこまでも冷静だ。
 私も、〝協力〟と強調されたおかげでようやくピンときた。

「協力……私がですか?」
「ああ。今後はもう縁談自体申し込まれたくないんだ、どのみちそういう結婚する気ないし俺」

 溜息交じりに続く彼の説明へ、私は真剣に耳を傾ける。
 聞けば、今まさに、相手側から押されに押されている縁談があるそうだ。これまでのように多忙を理由に断っても、お相手側どころか実家のご両親すら納得してくれず、随分せっつかれているらしい。

「本当の事情を知ってるのは柊木だけだ。だから、どうしても柊木に協力してほしくて」

 まぁ一理なくはない。
 なくはないけれど、納得できない点もある。

「それで私が恋人のふり……あの、お言葉ですが」
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