ひとつの月とふたつの太陽〜正しくない恋のやり方〜

プロローグ



好きだと伝えた瞬間、
壊れてしまう関係がある。



だから私は、
想いを言葉にしないまま、
ただ、彼の隣にいることを選び続けた。







これは、



――報われないと知っていながら、
ひとりの男に執着し続ける女。


――特別にしないと決めているのに、
拒むことも出来ない男。


――自分を絶対好きにならないからこそ、
そばに置いておきたい男。


それぞれが、
自分にとって都合のいい立ち位置を守りながら、
踏み越えてはいけない一線だけを、
器用に避けて、


それでも、離れられない。


価値観のずれた恋のお話。


触れなければ、壊れない。
名前をつけなければ、失わない。


――そんな脆い均衡の上で、
誰ひとり、手を放せないまま。



その歪んだ関係は、
静かに、確実に、形を変えていく。





先に、その均衡を崩すのは――誰?
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