ひとつの月とふたつの太陽〜正しくない恋のやり方〜
大好きな幼馴染
高層階のオフィスに、窓から柔らかく午前の白い光が差し込む。
ガラス越しの街は遠く、キーボードの音と、抑えた電話の声だけが現実感を保っていた。
そんな日常の音に満ちた空間で、
私――柏木月菜(かしわぎ るな)は、営業企画部のデスクで、パソコンとにらめっこしていた。
営業部から上がってきた、クライアントの案件進捗や契約状況のデータをチェックし、
どの顧客にいつ提案を強めるか、販促のタイミングや売上予測をざっと微調整する。
数字ひとつで会社の計画に直結する仕事だから、気は抜けない。
唸る勢いでチェックを重ねていたその時。
「柏木」
聞き慣れた低い声。
その声を聞いた瞬間、心臓が跳ねた。
振り向くと、そこに立っていたのは――経理部の堤旭(つつみ あさひ)。
端正な顔立ちに、整った黒髪。
落ち着いたグレーのスーツ。きっちり結ばれた紺のネクタイ。
数字に強い人特有の、冷静な瞳。
でも私を見るときだけ、ほんの少しだけ温度が暖かい。
「えっ。どうしたの?企画部に用事?」
そう問いかけながらも、
無意識に声は少し弾んでしまう。
旭は軽く笑って返事をする。
「ああ。第3四半期の販促費の振替で、営業企画の予算計上と原価配賦を整理したくて。ちょっと手伝ってもらおうと思ってな」
「あっ、そうなんだ」
軽く相槌を打つけど、内側は会えた嬉しさで、花火があがる。
(旭、やっぱりグレーのスーツも似合う。いつもの黒も好きだけど。はぁ、かっこいい。会えて嬉しい。今日も頑張れそう)
そんな思考が頭の中を埋め尽くし、平静を保つのに必死だった。
ガラス越しの街は遠く、キーボードの音と、抑えた電話の声だけが現実感を保っていた。
そんな日常の音に満ちた空間で、
私――柏木月菜(かしわぎ るな)は、営業企画部のデスクで、パソコンとにらめっこしていた。
営業部から上がってきた、クライアントの案件進捗や契約状況のデータをチェックし、
どの顧客にいつ提案を強めるか、販促のタイミングや売上予測をざっと微調整する。
数字ひとつで会社の計画に直結する仕事だから、気は抜けない。
唸る勢いでチェックを重ねていたその時。
「柏木」
聞き慣れた低い声。
その声を聞いた瞬間、心臓が跳ねた。
振り向くと、そこに立っていたのは――経理部の堤旭(つつみ あさひ)。
端正な顔立ちに、整った黒髪。
落ち着いたグレーのスーツ。きっちり結ばれた紺のネクタイ。
数字に強い人特有の、冷静な瞳。
でも私を見るときだけ、ほんの少しだけ温度が暖かい。
「えっ。どうしたの?企画部に用事?」
そう問いかけながらも、
無意識に声は少し弾んでしまう。
旭は軽く笑って返事をする。
「ああ。第3四半期の販促費の振替で、営業企画の予算計上と原価配賦を整理したくて。ちょっと手伝ってもらおうと思ってな」
「あっ、そうなんだ」
軽く相槌を打つけど、内側は会えた嬉しさで、花火があがる。
(旭、やっぱりグレーのスーツも似合う。いつもの黒も好きだけど。はぁ、かっこいい。会えて嬉しい。今日も頑張れそう)
そんな思考が頭の中を埋め尽くし、平静を保つのに必死だった。