完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
もう一人の男が笑いながら俺に近づいてくる。

「しかし……お前の嫁、良い肌してんな?」

俺の耳元で小さく言う。

「抱き心地もよくて……いい匂いだったなぁ」

――その瞬間。

気づけば、男の胸ぐらを掴んでいた。

「……もう一回言ってみろ」

男は血走った目で笑った。

「だからよ。あの女――」

最後まで言わせなかった。

拳が、男の顔に叩き込まれる。

鈍い音が夜の静けさに響いた。

男の体がよろめき、地面に崩れ落ちる。

「っ……!」

もう一人の男が舌打ちした。

「おいおい、御曹司がそんなにキレていいのか?」

俺は何も言わず、倒れた男の胸ぐらを掴み上げた。

「……花音に触ったのか」


それに対して、男は口元の血を拭いながら笑った。

「触ったどころじゃねぇよ」

その瞬間、もう一度拳を叩き込んだ。

今度は容赦しなかった。

「ぐっ……!」

「要!」

志乃の声が背後から聞こえる。

だが止まらない。

「二度とあいつの名前を口にするな」

男の体が地面に転がる。

「おい……お前……見たことあるぞ……2年前俺の腕折った奴だろ!獅堂の息子だったのかよ!」

もう一人の男も驚いた顔をする。

「こいつがあん時の!?ガキのくせに俺らの仲間めちゃくちゃにしやがった……!?」

まずい……

これ以上志乃に聞かれたら面倒だ。

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