完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
その時だった。
――パシャ。
小さなシャッター音が響く。
志乃がハッと振り返った。
「……誰?」
建物の影に、カメラを構えた男が立っていた。
厄介なことになったな……
「そこまでにしていただけますか」
背後から、聞き慣れた声がした。
振り向くとそこに立っていたのは、迅だった。
「迅!」と志乃が叫ぶ。
迅は静かに状況を見渡した。
倒れている男たち、血のついた俺の拳。
「要様、あとは私に」
低く、しかし有無を言わせない声だった。
俺は舌打ちしながら男の胸ぐらを離す。
「早くここから消えろ」
男はふらつきながら立ち上がり、口元の血を拭った。
「……チッ」
血走った目でこちらを睨む。
「覚えておけよ、2年前の借りと……今回のこと。必ず後悔させてやる」
もう一人の男が鼻で笑う。
「獅堂の坊ちゃん、アルティウスを舐めんなよ」
そう言い残すと、二人は闇の中へ消えていった。
迅は軽く息を吐く。
「逃がしてよろしかったのですか?」
「構わない」
俺は血の付いた拳を握り直す。
「どうせまた出てくる」