完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
私がそう思った瞬間、獅堂様はふっとこちらを見て、小さく囁いた。
「……後で、改めてお話ししましょう」
その声は、周囲には聞こえない距離で。
改めてって……婚約者としての“打ち合わせ”!?
この人と、一緒に暮らす。
そして、この学園で、毎日顔を合わせる。
そう思っただけで、胸の奥が落ち着かなくなった。
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放課後。
帰り支度をしていると、ふいに背後から声をかけられた。
「九条さん」
その声に、心臓がひくりと跳ねる。
振り向くと、そこには獅堂様が立っていた。
相変わらず背筋は真っ直ぐで、制服の着こなし一つ取っても隙がない。
周囲の視線を自然と集めてしまうのに、本人はそれを気にも留めていない様子だった。
「少し、お時間よろしいでしょうか」
穏やかな声。
丁寧すぎるほどの物腰。
……断れる雰囲気じゃない。
私は小さく頷き、教室の外へとついていった。