完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~


私がそう思った瞬間、獅堂様はふっとこちらを見て、小さく囁いた。


「……後で、改めてお話ししましょう」


その声は、周囲には聞こえない距離で。

改めてって……婚約者としての“打ち合わせ”!?


この人と、一緒に暮らす。
そして、この学園で、毎日顔を合わせる。

そう思っただけで、胸の奥が落ち着かなくなった。
 
 *
 *
 *

放課後。

帰り支度をしていると、ふいに背後から声をかけられた。

「九条さん」

その声に、心臓がひくりと跳ねる。

振り向くと、そこには獅堂様が立っていた。

相変わらず背筋は真っ直ぐで、制服の着こなし一つ取っても隙がない。

周囲の視線を自然と集めてしまうのに、本人はそれを気にも留めていない様子だった。


「少し、お時間よろしいでしょうか」


穏やかな声。

丁寧すぎるほどの物腰。

……断れる雰囲気じゃない。

私は小さく頷き、教室の外へとついていった。

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