完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
「逃げろよ、そのくらい」

苛立ったように吐き捨てる。

「簡単に触らせんな」

「……っ」

胸が、ちくりと痛む。

「すみません……」

反射的に謝ってしまう。

でも……それだけじゃ、終わらなかった。

「そうじゃなくて……もっと自覚持てって言ってんだよ」

視線が、真っ直ぐに突き刺さる。

「花音さんは、これから獅堂家の人間になるんだから」

その言葉に。

胸の奥が、すっと冷たくなった。

「……それって」

自分でも驚くくらい、声が少し震えていた。

「獅堂家のために、ってことですか……?」

要さんの眉が、わずかに動く。

「だから、行動に気をつけろって……」

「もちろん、獅堂家や要さんのために頑張ってます」

言葉を遮る。

「でも私は……都合のいい人形じゃありません」

空気が、ぴんと張り詰めた。

「ちゃんと、自分で考えて動いてます」

「……」

「それに……気をつけてますし……」

最後は少しだけ声が弱くなる。

でも……止まらなかった。

胸に溜まっていたものが、溢れてくる。

「……要さんこそ」

一歩、踏み出す。

「志乃さんとは、どうなんですか?」

一瞬で、空気が凍りついた。

要さんの表情が、ぴたりと止まる。

「この前の披露パーティでも……二人でいたんでしょう?」

言ってしまった。

これは絶対言いたくなかったのに。

「……っ」

自分でも分かる。

完全に、八つ当たりだ。

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