完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
要さんの手に、自分の手を重ねる。

「……っ」

一瞬だけ、指が動く。

「……花音?」

「……一人で抱えなくていいです」

ゆっくりと、でもはっきりと伝える。

「私が側にいるんですから……」

視線を逸らさずに、見つめる。

「要さんが知りたいこと……一緒に探したいです」

少しの沈黙の後、ぎゅっと手を握り返された。

「……やっぱり、俺は間違ってなかったな」

「え……?」

「花音を好きになってよかった」

少しだけ困ったように笑う。

その表情にドキッとした。

「……助かる」

その声は、どこか柔らかくて。

「当たり前のことですよ……」

「ありがとう……」

さっきまでよりも、少しだけ距離が近くなった気がした。

しばらくの間、何も言葉はなかった。

ただ、静かな夜の中で、互いの体温だけが確かにそこにあった。

< 266 / 270 >

この作品をシェア

pagetop