完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
だが宗一郎は止まらない。

「なのに突然、“手を切る”と言い出した」

その目に、怒りが滲む。

「こちらを売って、自分たちだけ綺麗な顔をしようとしたんだ」

「違う」

静かに言ったのは、親父だった。

その声には、重みがあった。

「我々は最初から、お前たちを表に出すつもりだった」

「……!」

花音が息を呑むのが分かった。

親父は宗一郎を真っ直ぐ見据えていた。

「警察が簡単に尻尾を掴めない以上、中へ入るしかなかった」

「はっ……!」

宗一郎が吐き捨てるように笑う。

「それを裏切りと言うんだよ!」

「違う」

親父は首を振った。

「お前を止めたかった」

「……っ」

「昔のお前は、こんな男じゃなかった」

その一言に、宗一郎の表情がわずかに揺れる。

「高校時代のお前は……もっと真っ直ぐだっただろう……」

静かな声だった。

だが、そこには長年の感情が滲んでいた。

「金に取り憑かれてから、お前は変わった」

「黙れ」

「周りが見えなくなっていたんだ、宗一郎」

「黙れッ!!」

怒号が響き、会場の空気が震えた。

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