完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
「要さん……」

気づけば、要さんがすぐ隣にいた。

さっきまで戦っていたとは思えないくらい静かな顔。

でも、抱き寄せる腕だけが少し強い。

「怪我は?」

「……ないです」

小さく答えた瞬間、ようやく緊張の糸が切れそうになる。


怖かった……

本当は、ずっと。


「……っ」

小さく震えると、要さんの手が背中をゆっくり撫でた。

「もう大丈夫だ」

その声に、胸の奥がじわっと熱くなる。

「……ごめんなさい」

「何が……?」

「私が余計なこと言ったから……」

すると要さんは、少しだけ眉を寄せた。

「お前が庇ったから、あいつは飛び出したんだろ」

「……っ」

「なら、早乙女も後悔してねぇよ」

その言葉に、涙がこぼれそうになる。

すると少し離れた場所から、

「……大丈夫よ」

静かな声が聞こえた。

振り返ると、そこに志乃さんが立っていた。
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