完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
その時、扉の外から整った足音が聞こえた。
コンコン……
「失礼いたします」
落ち着いた声がして、志乃さんが視線を向ける。
扉が静かに開き、そこに立っていたのは迅さんだった。
いつも通りの整った姿勢。
だが、わずかに張り詰めた空気をまとっている。
「迅さん……」
私は自然と立ち上がる。
迅さんは一礼すると、私の方へ視線を向けた。
「花音様。恐れ入りますが、外へ来ていただいてもよろしいでしょうか」
「外……?」
一瞬、胸が強く跳ねる。
また何か……?
迅さんは静かに続ける。
「要様のご指示です」
その言葉は丁寧だが、目は真剣だった。
「外って……警備体制は大丈夫なの?」
志乃さんの問いかけに、迅さんは少しだけ頷く。
「はい。動線は限られております。安全確保を優先いたします」
志乃さんが小さく笑う。
「相変わらずちゃんとしてるわね。花音さん、もう気持ちは落ち着いた?」
「はい……迅さんが一緒なら、大丈夫です」
私は胸に手を当てながら、そう言った。
迅さんが一歩前へ出る。
「花音様、参りましょう」
「……はい」