完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
二人で廊下へ出た時、一瞬視界が遮られた。

えっ……何!?

私は、迅さんに抱きしめられていたのだ。

「じ、迅さん!?」

「申し訳ありません……数秒でいいので」

そう言って、抱きしめた腕がかすかに震えているのを感じ、私はそっと受け止めた。

「あのっ……」

「あの時……あなたが刺されるかもしれないと思った瞬間……頭が真っ白になってしまいました」

「……」

「もし……あなたの身になにかあったら私は……」

「迅さん……私は大丈夫です」

迅さんの胸を少し手で押して、背の高い迅さんの顔を見上げる。

その顔はいつものキリッとした表情ではなく、とても不安そうだった。

「ほら、ちゃんと元気で怪我もないじゃないですか!」

少しオーバーに笑ってみせる。

すると、迅さんの手が私の頬に触れたので、ビクッとなった。

「今だけ……あなたに触れることをお許しください……」

「じ、迅さんっ」

「これで……この想いは今日で最後にしますから」

そう言って私のおでこに触れるか触れないかのキスを落とした。

息が止まりそうなほど近くて、私は動けなかった。

「私の願いはあなたの幸せです……あなたと要様が幸せでいるのでなら、私はこの想いに蓋をします」

「は、はい……」

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