完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
*
*
獅堂家へ戻る頃には、空が少し赤く染まり始めていた。
玄関を入ると、使用人たちが一礼する。
その奥に……
「お帰りなさいませ」
迅さんの姿があった。
「迅さん……」
思わず背筋が伸びる。
おでこにキスをされた以来、なんとなく目を合わせづらい。
迅さんはいつも通り落ち着いた表情だったけれど、私は勝手に緊張してしまう。
「早乙女様のご様子はいかがでしたか?」
「えっ、あ……げ、元気そうでした!」
慌てて答えると、迅さんが小さく笑った。
「それは何よりです」
その時だった。
「……お前ら、なんか変だな?」
要さんの低い声が落ちる。
「っ」
心臓が跳ねた。
迅さんは一瞬だけ沈黙したあと、静かに口を開く。
「……実は」
「迅さん!?」
止めようとしたけれど遅かった。
迅さんは笑顔のまま言った。
「先日、花音様のおでこにキスをしてしまいました」
数秒、空気が止まる。
「……は?」
要さんの眉間にしわが寄る。
「ちょっ、要さん待っ――」
その瞬間。
ゴッ!!
要さんの拳が、迅さんの頬に綺麗に入った。
「迅さん!?」
私は倒れ込む迅さんの方へ、慌てて駆け寄る。
迅さんは頬を押さえながら、はぁ……と息を吐いた。
「やはり殴られましたか」
「当たり前だろ!!」
要さんが珍しく声を荒げる。
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獅堂家へ戻る頃には、空が少し赤く染まり始めていた。
玄関を入ると、使用人たちが一礼する。
その奥に……
「お帰りなさいませ」
迅さんの姿があった。
「迅さん……」
思わず背筋が伸びる。
おでこにキスをされた以来、なんとなく目を合わせづらい。
迅さんはいつも通り落ち着いた表情だったけれど、私は勝手に緊張してしまう。
「早乙女様のご様子はいかがでしたか?」
「えっ、あ……げ、元気そうでした!」
慌てて答えると、迅さんが小さく笑った。
「それは何よりです」
その時だった。
「……お前ら、なんか変だな?」
要さんの低い声が落ちる。
「っ」
心臓が跳ねた。
迅さんは一瞬だけ沈黙したあと、静かに口を開く。
「……実は」
「迅さん!?」
止めようとしたけれど遅かった。
迅さんは笑顔のまま言った。
「先日、花音様のおでこにキスをしてしまいました」
数秒、空気が止まる。
「……は?」
要さんの眉間にしわが寄る。
「ちょっ、要さん待っ――」
その瞬間。
ゴッ!!
要さんの拳が、迅さんの頬に綺麗に入った。
「迅さん!?」
私は倒れ込む迅さんの方へ、慌てて駆け寄る。
迅さんは頬を押さえながら、はぁ……と息を吐いた。
「やはり殴られましたか」
「当たり前だろ!!」
要さんが珍しく声を荒げる。