完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
「早乙女家を立て直すんだろ」
「……まぁな」
すると次の瞬間。
大我さんがちらっと私を見た。
「立て直したら……今度は正式に花音にプロポーズしに行くかな」
「えっ!?」
「は?」
空気が凍る。
「おい早乙女」
要さんの声が一気に低くなる。
「病人だからって許されると思うなよ」
「冗談だって」
「笑えねぇ」
本気で不機嫌そうな顔に、大我さんが声を出して笑った。
そのやり取りが、なんだか少し嬉しかった。
あの日とは違う。
ちゃんと前へ進めている気がしたから。
病室を出ると、廊下には午後の柔らかな光が差し込んでいた。
私はほっと息を吐く。
「……元気そうで安心しました」
「あいつ、怪我人のくせに口だけは達者だったな」
要さんが呆れたように言う。
でもその横顔は、どこか穏やかだった。
きっと、本当に安心したんだと思う。
「でも……よかったです」
「ん?」
「ちゃんと、話せて」
もしあのままだったら。
きっとお互い、後悔したままだった。
要さんは少しだけ目を細めた。
「ああ」
短い返事だけど、その声は優しかった。