完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~

「……花音さんに何かしたのか」

「相手も酔っていたようで、腕を掴まれておりました」

花音を抱く手に力が入る。

どいつもこいつも……気軽に触りやがって……

「そして今日は挨拶代わりだ、と……そう言っていました」

そこまで聞いて、俺は小さく息を吐いた。

「あいつらがあのまま黙っているわけねぇとは思っていた」

「はい」

「変な動きがないか、黒耀で調べろ」

黒耀は――

二年前、俺が密かに作った組織だ。

獅堂家の人間で存在を知っているのは迅だけ。

母の死が不自然だと聞いてから、俺は獅堂家が信用ができない。

だから裏を探らせている。

「わかりました、メンバーに伝えておきます」

「それから……花音さんに危害が加わらないよう、注意しとけ」

迅が花音の顔を見てから、

「はい」

と頭を下げた。

その時……

花音が小さく身じろぎする。

「……うーん……」

寝返りを打とうとしたのか、ドレスの裾がわずかに乱れた。

迅の視線が一瞬そちらへ向く。

「……見るな」

その言葉に、迅が「失礼しました」と目を伏せた。


< 99 / 188 >

この作品をシェア

pagetop