完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
「……花音さんに何かしたのか」
「相手も酔っていたようで、腕を掴まれておりました」
花音を抱く手に力が入る。
どいつもこいつも……気軽に触りやがって……
「そして今日は挨拶代わりだ、と……そう言っていました」
そこまで聞いて、俺は小さく息を吐いた。
「あいつらがあのまま黙っているわけねぇとは思っていた」
「はい」
「変な動きがないか、黒耀で調べろ」
黒耀は――
二年前、俺が密かに作った組織だ。
獅堂家の人間で存在を知っているのは迅だけ。
母の死が不自然だと聞いてから、俺は獅堂家が信用ができない。
だから裏を探らせている。
「わかりました、メンバーに伝えておきます」
「それから……花音さんに危害が加わらないよう、注意しとけ」
迅が花音の顔を見てから、
「はい」
と頭を下げた。
その時……
花音が小さく身じろぎする。
「……うーん……」
寝返りを打とうとしたのか、ドレスの裾がわずかに乱れた。
迅の視線が一瞬そちらへ向く。
「……見るな」
その言葉に、迅が「失礼しました」と目を伏せた。