きみが春なら
コップの水がいっぱいになったみたいに。想いが溢れ、涙がぼろぼろ零れた。
いけない、と思っても全然止められない。

「あぁ、泣かないでおくれ。あいつに殴られてしまう」
「ごめんなさい」

笑いたいのに上手くいかなくて。とうとうしゃくりあげてしまう。


考えると、動けなくなるから。
淋しさを押し殺して
思い出も押し込めて
無理矢理前に進む日々だった。

でも、本当は
会いたくて 会いたくて
会いたくて

……ねぇ、イーヴァン。
そろそろ限界なの。


「あいつは、必ず生きて君の所へ戻る。こんなに可愛いお嬢さんを長い事放っておけるもんか」

男性はスーツの内ポケットからハンカチを取り出し、私に差し出してくれた。受け取ったものの自分の顔があまりにもぐちゃぐちゃで使うのを躊躇する。

「不真面目そうに見えて、真面目な男だ。信じて待っててやってくれ」
「……はい。」

私が頷くのを見て、男性は眉を下げた。
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