引きこもり令嬢は皇妃になんてなりたくない!~強面皇帝の溺愛が駄々漏れで困ります~5
 一人の騎士が、白い(おおかみ)の姿をした心獣に乗って突入する。
「た、大変ですアインス様! ――て、ぎゃあああああ陛下がいるぅぅううううう!?」
「うむ。そなたの悲鳴はよく分かる」
 部下から魔法で作った氷袋を渡された宰相が、それをタオルで巻いて頭にあてながら言った。
「事後仕事も増えた」
「うるさいぞ。それで? 緊急の知らせのようだな?」
 ジルヴェストの眼光が、皇妃の護衛の一人であるその騎士を鋭く貫く。
「俺がいては何か都合が悪いのか。エレスティアはそれほど悪いのかっ?」
「い、いえっ、違います! あっ、体調がお悪いのは確かなのですが、とにかく大変で! ああそれからっ、陛下おめでとうございます!」
「一気に言うな。よく分からんぞ」
 ジルヴェストが顔を顰める。アインスや宰相、場にいる者たちも不思議がって首を(かし)げたりしている。
 すると騎士は、心獣の上から続けた。
「皇妃様が、ご懐妊でございます! 皇妃様が第一子をご懐妊されました!」
 数秒、室内に沈黙が落ちた。
 そしてジルヴェストを含め普段、真顔が基本のアインスも室内にいた全員と一緒になって「何いいいぃぃ!?」と声を響かせたのだった。
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