†鑑査委員制度†
「もう莉加なら何時でも気にしないのにな〜」
そう言われながら久保田さんからも残りのプリントを受け取る。
「瀬川くんは優しいね〜」
久保田さん、その認識は間違ってるよ。俺はちっとも優しくなんかない。
内心大いに苦りながら、ちょうど金沢さんもいる事だし、姫宮さん達に会う前に真相を確かめておく気まぐれを起こした。
ことの次第を知っているに越したことはないからな。
それに久保田さんもいるし、1対1じゃ気まずい質問を投げかけてみる。
「2人は彼氏がいるの?」
すると久保田さんの瞳に急に強い色が浮かんだ。
「いない!莉加いないよ〜!」
「・・・そうなんだ」
若干、久保田さんのその反応に圧倒されたが、同様の質問を金沢さんにも投げかける。
「金沢さんは?彼氏、いないの?」
「えっ、私?」
金沢さんは戸惑うように目を泳がせる。
この反応じゃなぁ・・・隠しているようにも見えなくはないが、ただ質問に困っている風な気もする。
はかりかねてじっと金沢奈美を見つめたが、彼女はその第一声からさらに言葉を続ける気はないようだ。
これ以上踏み込むのはどうなのだろうと考えていると、久保田莉加が俺の方へ身を乗り出してきた。
「それより瀬川くんこそどうなの?彼女いるの〜?」
「僕?」
自分に対して使われた、“彼女”という言葉に素でキョトンとした。
2、3秒ほど固まってしまい、久保田さんの「どうなの〜?」と、再び掛かった声にはっとした。
「いや、いないよ。というか居たことがない」
急いで答えた事によって、余計な事まで口走ってしまった。
「へぇ〜意外!」
久保田さんはなぜか嬉しそうに笑っていた。
「瀬川くん。百戦錬磨な感じがするのにね」
ぼそりと金沢さんが発した言葉に驚く。
大人しそうな顔して、何て事を言い出すんだこの人は?そのギャップにとにかく驚いた。