†鑑査委員制度†


「すみません。待ちましたか?」


「いえ」


本棚の奥から柴田先生は上半身を傾け、初め窺うように現れた。


て言うか、何だ?この初デートのカップルみたいなやり取りは?


妙に可笑しくなって思わず口元が緩みかけ、必死で笑いをこらえる。


やっぱこの人なーんか、抜けてると言うか可笑しいと言うか。


「どうしたんですか、何か楽しいことでも?」


と、思えば妙にさといし・・・


そんな様子なものだから、故意なのか天然なんだかよく分からない。


たち悪いよ全く。


「いえ、別に。それ、何ですか?」


誤魔化すつもりで柴田先生が持っていた、透明なファイルを指摘する。


柴田先生はファイルに一瞥をくれると、俺にそれを差し出した。


「鑑査委員制度についてのガイダンスです。持ってくる話しでしたから」


あぁ・・・そう言えばそんな事になっていたな。


了解して、差し出されたファイルを受け取り、中身を指でパラパラとめくってみる。


思ったよりそんなに枚数はないな。4、5枚程度というところか?


「どうぞ。必要な部分だけピックアップして持ってきました」


先生はそう言い、中身の確認を促された俺はファイルから5枚全ての紙を抜き出し、一番上から目を通す作業に早速とりかかった。
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