†鑑査委員制度†


職員室にプリントを届けに行くと、「先に資料室に行っていて下さい」と、相変わらずの丁寧な口調で柴田先生からそう耳打ちされ、ひとまず1人で資料室へと向かう。


ポケットから、昨日渡されたばかりの鍵を取り出し部屋を開ける。


入ってすぐに、相変わらずカビ臭い匂いが鼻についた。


本棚に隠れるように置かれている机や椅子の近くまで歩み寄り


何とか天井付近に備え付けてある窓が開かないだろうかと思ったが、どうやら椅子や机に上っても届かなそうだ。


仕方無く諦め、かけていた鞄を机の上に置かせてもらった。


色の少ない部屋では、俺のビッビットカラーの水色の鞄がやけに浮いて見える。


先生を待っている間、特にする事も無いので窓から射す光に輝く埃を眺めていた。


軽く息を吐き出すと、小さな渦を巻いて埃が散らばる。


そんな様子を眺めながら、昨日の椿千里の言葉を唐突に思い出した。


「に、しても柴田先生はやるねぇ〜。俺、何度も鎌掛けたのに全然そんな素振り見せなかった」


柴田先生ね・・・


先生は鑑査委員同士で会ってはならないと言っていた。


それに自分は誰がそうなのかも把握していないとも。


それが正しいなら椿くん・・・千里くんの発言と合わない。


その場では指摘しながったが“鎌を掛けた”と言っていたぐらいだ。


何らかの接触があったと思うけど・・・


千里くんとどんな掛け合いがあったのか分からないには、実際のところは謎だ。


それに姫宮さんから聞いた推薦状の話やその他もろもろ。


まだ沢山話す事があるとは言っていたが、それにしても何で特典の話しが出たときに一緒に言わなかったのだろうか?


単に忘れていただけなのか、故意に色々隠されているのか・・・?


柴田先生は悪い人では無い気がするが、やっぱりよく分からない。


俺から聞いてみたい気もするが、それじゃ出所がどこだと聞かれるだろうし・・・


さて、どうしたものか?


そんな事を考えていると、資料室の扉が開く音が聞こえた。
< 73 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop