花束に囲まれた君が残したもの。
ー移ろいー
休日、僕は朝からハギのお見舞いをしに病院へ向かった。
向かう道の途中で1羽のカラスの鳴き声が聞こえた。
「お前の時間はまだだぞ。」
なんて心の中で思いながら歩く。
最近誰かと話す時間が減った分独り言が多くなった。
太陽は真上に上がり、暑さはいっそう増していく。
病院は以前とは全く違う場所に見えた。
廊下には車椅子の人、点滴を持ち歩いている人、看護師さんと会話する音が響く。
廊下を歩くと中庭が見え、金木犀の木や枝のみの桜の木々あるのが見えた。
病室の前に着くと、僕は一息つき、ノックをして扉を開けた。
そこには昨日見たままのハギと伏せて寝てしまっている妹さんの姿があった。
窓から陽の光が差し込んでいた。
一晩中ハギのことを心配していたのだろう。
閉じている目の下にはクマがあった。
「きっとお兄ちゃんなら大丈夫だよ。」
僕はそう言って僕はベットの袖にかかっていたブランケットを妹さんにかけた。
「ハギ、1秒でも早く戻ってこいよ。」
僕はハギを見ながら呟いた。
近くにあった丸椅子をハギのベット横に持っていくと少しの間座ってハギの様子を見ていた。
僕は自分の財布から1枚紙を取り出し、ハギの枕元に置いた。
それは流星群を見たあの日に撮った写真だった。
流星群ではなく、流星群を見ているみんなの写真。
「…これ何となくお守りとして持ってたんだよ。僕はあの日流星群を見た事より、みんなの笑顔が何より綺麗だと思ったんだ…預けるから返しに来てくれよ。」
僕はハギに微笑みながら伝えた。
僕はそろそろ病室を出ようとすると、病室に見覚えのある看護師さんが来た。
「昨日の…」
僕は看護師さんにペコッとお辞儀をする。
何となくハギの病室に行けば会えると思っていた。
看護師さんはニコッとするとハギのベットの横に向かった。
「あの…」
僕が声をかけようとすると、看護師さんは
「妹さん、すごくまだ小さいのにすごく偉い子よね。」
そう呟くと、僕に背を向け点滴の入れ替えを始めた。
「ハギさんもクワさんやヒマさん、シオンさん。色んな人が見舞いに来てくれて。きっとすぐに目を覚ましてくれんじゃないでしょうか。」
「…看護師さん。ひとつ聞きたいんですけど…」
僕は改まって看護師さんに向かって聞いた。
「なぁに?」
看護師さんは仕事をしながら返事をした。
「ツユちゃんのことなんで知ってたんですか。名前、呼んでいましたよね」
看護師さんの手が止まるのがわかった。
「…そう、だったかしら?」
少し間が空いた返事だった。
同時になにか知っているという確信になった。
「…ツユちゃんもしかしてここにいますか?」
僕は自分の予想を声に出した。
確証はもちろんない。
ただ、この予想は”当たって欲しくない"予想だった。
否定してくれればそれでいい。そう思った。
「分からないなぁ。」
看護師さんは即答するとまた手を動かし始めた。
僕は否定して欲しかった。
看護師さんが他人に"患者"の話をすることはない。
だから曖昧な返事は僕の予想を確証に近づけてしまった。
「どこにいますか。」
僕は続けて聞いた。
看護師さんは作業が終わったのか点滴周りを片付け立ち上がる。
僕の横を通り病室から出ようとした。
通り過ぎる際、看護師さんは「わからないの。ごめんね。」と言って通り過ぎていった。
看護師さんの服からはすごく甘い匂いがした。
…この匂い。どこかで
僕ははっとして外を見た。
ー金木犀の匂いだ。
金木犀は病室に来る前に中庭に咲いていた。
ツユちゃんと知り合いの看護師さん…となると…
もしかして…
病室を出て中庭へ向かった。
向かう道の途中で1羽のカラスの鳴き声が聞こえた。
「お前の時間はまだだぞ。」
なんて心の中で思いながら歩く。
最近誰かと話す時間が減った分独り言が多くなった。
太陽は真上に上がり、暑さはいっそう増していく。
病院は以前とは全く違う場所に見えた。
廊下には車椅子の人、点滴を持ち歩いている人、看護師さんと会話する音が響く。
廊下を歩くと中庭が見え、金木犀の木や枝のみの桜の木々あるのが見えた。
病室の前に着くと、僕は一息つき、ノックをして扉を開けた。
そこには昨日見たままのハギと伏せて寝てしまっている妹さんの姿があった。
窓から陽の光が差し込んでいた。
一晩中ハギのことを心配していたのだろう。
閉じている目の下にはクマがあった。
「きっとお兄ちゃんなら大丈夫だよ。」
僕はそう言って僕はベットの袖にかかっていたブランケットを妹さんにかけた。
「ハギ、1秒でも早く戻ってこいよ。」
僕はハギを見ながら呟いた。
近くにあった丸椅子をハギのベット横に持っていくと少しの間座ってハギの様子を見ていた。
僕は自分の財布から1枚紙を取り出し、ハギの枕元に置いた。
それは流星群を見たあの日に撮った写真だった。
流星群ではなく、流星群を見ているみんなの写真。
「…これ何となくお守りとして持ってたんだよ。僕はあの日流星群を見た事より、みんなの笑顔が何より綺麗だと思ったんだ…預けるから返しに来てくれよ。」
僕はハギに微笑みながら伝えた。
僕はそろそろ病室を出ようとすると、病室に見覚えのある看護師さんが来た。
「昨日の…」
僕は看護師さんにペコッとお辞儀をする。
何となくハギの病室に行けば会えると思っていた。
看護師さんはニコッとするとハギのベットの横に向かった。
「あの…」
僕が声をかけようとすると、看護師さんは
「妹さん、すごくまだ小さいのにすごく偉い子よね。」
そう呟くと、僕に背を向け点滴の入れ替えを始めた。
「ハギさんもクワさんやヒマさん、シオンさん。色んな人が見舞いに来てくれて。きっとすぐに目を覚ましてくれんじゃないでしょうか。」
「…看護師さん。ひとつ聞きたいんですけど…」
僕は改まって看護師さんに向かって聞いた。
「なぁに?」
看護師さんは仕事をしながら返事をした。
「ツユちゃんのことなんで知ってたんですか。名前、呼んでいましたよね」
看護師さんの手が止まるのがわかった。
「…そう、だったかしら?」
少し間が空いた返事だった。
同時になにか知っているという確信になった。
「…ツユちゃんもしかしてここにいますか?」
僕は自分の予想を声に出した。
確証はもちろんない。
ただ、この予想は”当たって欲しくない"予想だった。
否定してくれればそれでいい。そう思った。
「分からないなぁ。」
看護師さんは即答するとまた手を動かし始めた。
僕は否定して欲しかった。
看護師さんが他人に"患者"の話をすることはない。
だから曖昧な返事は僕の予想を確証に近づけてしまった。
「どこにいますか。」
僕は続けて聞いた。
看護師さんは作業が終わったのか点滴周りを片付け立ち上がる。
僕の横を通り病室から出ようとした。
通り過ぎる際、看護師さんは「わからないの。ごめんね。」と言って通り過ぎていった。
看護師さんの服からはすごく甘い匂いがした。
…この匂い。どこかで
僕ははっとして外を見た。
ー金木犀の匂いだ。
金木犀は病室に来る前に中庭に咲いていた。
ツユちゃんと知り合いの看護師さん…となると…
もしかして…
病室を出て中庭へ向かった。