花束に囲まれた君が残したもの。
【焔の最中】
ー原点ー
ーーー
「山小屋に来てくださいって。何この道…草まみれで目印もただのリボン…道らしい道なんてないじゃない…」
今日は夜勤だから、午前中は寝ていたかったけれど、手紙の内容が気になり全く寝れなかったから手紙に書かれている地図の通り その山小屋という場所に向かった。
草むらが開けた先にはひとつの山小屋があった。
「…」
私はひと呼吸した後、扉をノックする。
ゆっくり扉が開いたと思うとそこにはクワ君がいた。彼の顔は少し大人びて見えた。
「待ってたよ。」
彼はそう言うと山小屋の部屋の中へ案内した。
そこにはクリスマスの飾りや絵、楽器、ハンモックなどまるで子どもの秘密基地のような小物が揃っていた。
ただ床だけは少し湿っているようで歩く度にミシミシと音を立てた。
「久しぶりですね。」
彼は一言呟く。
「そうですね…病室で会いましたよね。」
私が呟くと彼は少し笑うと、
「…違うでしょ。俺が小学生の時に会ってるでしょ。」
やっぱりそう来たか。
私は身構えた。
手紙を貰った時点で予想はしていた。
「知ってたんですね。」
「思い出したんだよ。そのほくろ。あの日、俺の家族と車で衝突したあと、1度俺らのことを覗いたでしょ。」
やっぱりホクロは隠しておくべきだった。
私は少し後悔をした。
「なんであの時、逃げたんだよ…」
震えた声でクワ君は私に問う。
「…失いたくなかったんだよ。」
私は隠さなかった。
むしろ笑顔で言った。
内心、今この子は1人だ。どうにだってできる。
そう思った。
「何が失いたくなかっただよ…。お前は俺の家族も。ハギも。そしてなんだ。次はツユまで連れていく気か。」
喚起する声が山小屋に響く。
私は周りを見渡した。
壁に飾ってある飾りを手に取る。
「…こんなに恵まれてて、あなたには分からないですよ。」
「私にだって大事にしたいものがある。クワさんみたいに友達に囲まれてたらよくわかるでしょ。」
私は手元に取った飾りを見ながら話した。
「最初はもちろん自首しようとしました。でも、周りの人と亀裂が入ってしまうかもしれない。進路を決めている時期でもあった。…幸い深夜で田舎道、誰もいない時間だった。」
私は話終えると一息つく。
持っていた飾りが床に落ちた。
「だから逃げた…。」
クワさんは険しい顔で呟く。
「じゃあなんでハギの時は…」
「2回目も同じですよ。失いたくないんです。環境を。壊れてしまっては修復なんて不可能なんです。」
私は彼を見て言った。
下を向く彼は震えているように見えた。
「それに…あなたたちの過ごしている様子を少し観察していて思いました、なんでこんな状況なのに逃げ出さないんだろうって。すごく不快だった。妬ましかった。どうして私だけって…」
私は持っていた飾りを拾おうとしゃがんだ拍子に、壁にかかっていた絵を落としてしまった。
落ちた絵を彼が拾い、数秒見つめると絵をテーブルに起き私の目を鋭い目つきで見た。
「そりゃ、殺したいくらい憎いよ。全部、全部全部俺から奪っていく。みんなと楽しくやってる時も心の中ではずっと考えてて、みんなを騙してるようで。でも同時に、俺がいるせいで周りが不幸になってるって…」
「たがら…悪魔同士消えちまおう。そう思ってお前を呼んだんだよ。」
「でも…お前は昔の俺だ。…一人だったんだな。」
「友人がいる。」
「強引に酒を誘うやつがか?まぁ俺も強引にギター誘われたけど…もし俺がそこで断っててもあの二人なら嫌な顔はしなかっただろうな…」
「それに…壊れてしまったものは修復不可能。って、それは逃げてたからだろ。俺らはちゃんと向き合った。思いをちゃんと伝えた。時間をかけてもう一度作り直した。修復不可能って決めつけて、都合の良いようにしていたのは自分だろ。」
「その友人にだって、1回でも自分の意見をぶつけたことがあるのか?助けてって相談したことがあるのか?」
「でも確かに俺は恵まれてる。それは事実だ。あの時、アイツらがこの山小屋に来なかったらもしかしたら、逃げる道を選択して、お前と同じ道を辿っていたかもしれない。」
彼は少し寂しそうな顔をして話した。
「…だからここで最後。お願いだからこの先これ以上アイツらからは何も奪わないでくれ。」
そう言うと彼は机のマッチに火をつけた。
そしてそれを床に落とした。
火が徐々に広がる。
床が湿っていたのはアルコールが撒かれていたからだった。
いつか白状しないといけないと思っていた。
ただ大人になるにつれて自分に選択出来ることが増えて、環境が良くなって行った。
作り上げてきたものを自分の手では壊したくなかった。
でも、気持ちはあの事故当時に置き去りのままだった。
彼は少し笑いながら言った。
「この場所は俺が小さい頃お前を恨み続けた場所なんだよ。一緒に消してやる…」
炎の風で壁にかかっていた絵が落ちた。
彼は絵を手に取るとじっと眺める。
彼の目には涙が溢れていた。
火は徐々に燃え広がっていく。
少したって彼の電話がなったが気づかない様子だった。
「電話…」
私が呟くと彼は我に返ったように涙を拭い携帯を見る。
彼は携帯の画面を見ていた。
「みんな会えたんだな…」
彼が呆然としているその隙に私は飛び出してきた。
私だってまだやりたいことが沢山ある。
このまま壊されてはたまらないと思い、一目散に山をおりた。
彼は追いかけてこなかった。
そして彼の一言でハギ君が目を覚ましたことを悟り急いで病院に戻ってきた次第だ。
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「山小屋に来てくださいって。何この道…草まみれで目印もただのリボン…道らしい道なんてないじゃない…」
今日は夜勤だから、午前中は寝ていたかったけれど、手紙の内容が気になり全く寝れなかったから手紙に書かれている地図の通り その山小屋という場所に向かった。
草むらが開けた先にはひとつの山小屋があった。
「…」
私はひと呼吸した後、扉をノックする。
ゆっくり扉が開いたと思うとそこにはクワ君がいた。彼の顔は少し大人びて見えた。
「待ってたよ。」
彼はそう言うと山小屋の部屋の中へ案内した。
そこにはクリスマスの飾りや絵、楽器、ハンモックなどまるで子どもの秘密基地のような小物が揃っていた。
ただ床だけは少し湿っているようで歩く度にミシミシと音を立てた。
「久しぶりですね。」
彼は一言呟く。
「そうですね…病室で会いましたよね。」
私が呟くと彼は少し笑うと、
「…違うでしょ。俺が小学生の時に会ってるでしょ。」
やっぱりそう来たか。
私は身構えた。
手紙を貰った時点で予想はしていた。
「知ってたんですね。」
「思い出したんだよ。そのほくろ。あの日、俺の家族と車で衝突したあと、1度俺らのことを覗いたでしょ。」
やっぱりホクロは隠しておくべきだった。
私は少し後悔をした。
「なんであの時、逃げたんだよ…」
震えた声でクワ君は私に問う。
「…失いたくなかったんだよ。」
私は隠さなかった。
むしろ笑顔で言った。
内心、今この子は1人だ。どうにだってできる。
そう思った。
「何が失いたくなかっただよ…。お前は俺の家族も。ハギも。そしてなんだ。次はツユまで連れていく気か。」
喚起する声が山小屋に響く。
私は周りを見渡した。
壁に飾ってある飾りを手に取る。
「…こんなに恵まれてて、あなたには分からないですよ。」
「私にだって大事にしたいものがある。クワさんみたいに友達に囲まれてたらよくわかるでしょ。」
私は手元に取った飾りを見ながら話した。
「最初はもちろん自首しようとしました。でも、周りの人と亀裂が入ってしまうかもしれない。進路を決めている時期でもあった。…幸い深夜で田舎道、誰もいない時間だった。」
私は話終えると一息つく。
持っていた飾りが床に落ちた。
「だから逃げた…。」
クワさんは険しい顔で呟く。
「じゃあなんでハギの時は…」
「2回目も同じですよ。失いたくないんです。環境を。壊れてしまっては修復なんて不可能なんです。」
私は彼を見て言った。
下を向く彼は震えているように見えた。
「それに…あなたたちの過ごしている様子を少し観察していて思いました、なんでこんな状況なのに逃げ出さないんだろうって。すごく不快だった。妬ましかった。どうして私だけって…」
私は持っていた飾りを拾おうとしゃがんだ拍子に、壁にかかっていた絵を落としてしまった。
落ちた絵を彼が拾い、数秒見つめると絵をテーブルに起き私の目を鋭い目つきで見た。
「そりゃ、殺したいくらい憎いよ。全部、全部全部俺から奪っていく。みんなと楽しくやってる時も心の中ではずっと考えてて、みんなを騙してるようで。でも同時に、俺がいるせいで周りが不幸になってるって…」
「たがら…悪魔同士消えちまおう。そう思ってお前を呼んだんだよ。」
「でも…お前は昔の俺だ。…一人だったんだな。」
「友人がいる。」
「強引に酒を誘うやつがか?まぁ俺も強引にギター誘われたけど…もし俺がそこで断っててもあの二人なら嫌な顔はしなかっただろうな…」
「それに…壊れてしまったものは修復不可能。って、それは逃げてたからだろ。俺らはちゃんと向き合った。思いをちゃんと伝えた。時間をかけてもう一度作り直した。修復不可能って決めつけて、都合の良いようにしていたのは自分だろ。」
「その友人にだって、1回でも自分の意見をぶつけたことがあるのか?助けてって相談したことがあるのか?」
「でも確かに俺は恵まれてる。それは事実だ。あの時、アイツらがこの山小屋に来なかったらもしかしたら、逃げる道を選択して、お前と同じ道を辿っていたかもしれない。」
彼は少し寂しそうな顔をして話した。
「…だからここで最後。お願いだからこの先これ以上アイツらからは何も奪わないでくれ。」
そう言うと彼は机のマッチに火をつけた。
そしてそれを床に落とした。
火が徐々に広がる。
床が湿っていたのはアルコールが撒かれていたからだった。
いつか白状しないといけないと思っていた。
ただ大人になるにつれて自分に選択出来ることが増えて、環境が良くなって行った。
作り上げてきたものを自分の手では壊したくなかった。
でも、気持ちはあの事故当時に置き去りのままだった。
彼は少し笑いながら言った。
「この場所は俺が小さい頃お前を恨み続けた場所なんだよ。一緒に消してやる…」
炎の風で壁にかかっていた絵が落ちた。
彼は絵を手に取るとじっと眺める。
彼の目には涙が溢れていた。
火は徐々に燃え広がっていく。
少したって彼の電話がなったが気づかない様子だった。
「電話…」
私が呟くと彼は我に返ったように涙を拭い携帯を見る。
彼は携帯の画面を見ていた。
「みんな会えたんだな…」
彼が呆然としているその隙に私は飛び出してきた。
私だってまだやりたいことが沢山ある。
このまま壊されてはたまらないと思い、一目散に山をおりた。
彼は追いかけてこなかった。
そして彼の一言でハギ君が目を覚ましたことを悟り急いで病院に戻ってきた次第だ。
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