花束に囲まれた君が残したもの。
ー解放ー
僕、ヒマ、ハギ、ツユちゃんは支え合いながら病室を出た。山小屋までは歩いて20分くらいある。
既に外は真っ暗で、ハギの持つ携帯の光を頼りに進んでいく。
闇の中を歩いているようで、不安と焦り震える足を1歩ずつ前に出す。
車が通る度に避けようとしてフラっと体がよろめく。
それでも1歩、また1歩と歩いていく。
「ハギ、シーちゃんに電話かけて状況がわかるようにして欲しい。」
僕はハギに頼んで携帯を繋げてもらった。
「ハーくん?」
「シーちゃん、今の状況教えて。」
ハギが冷静に話す。
「うん。えっと、あとちょっとで山小屋に着くと思う。暑いし炎が見える。ユリちゃんが消防車を呼んでくれてるんだけど…山の中で車が行けないからあと15分くらいかかるみたい…。」
シーちゃんは息が切れながらも丁寧に状況を教えてくれた。
「ありがとう。僕らもいま向かってる。電話はこのまま繋げておいて。」
ハギが話すとシーちゃんは「えっ」と驚いた反応をした。
「病室から出てるってこと??ツユちゃんも??」
「今行かないと。またみんなで星を見るんだろ?」
そういうハギの手には僕が枕の下に忍び込ませて置いた写真があった。
「これツッキーだろ?よく夢であの日の星空が出てきたんだよ。戻りたいって思ったら戻ってこれた。」
ハギは少し照れくさそうに話す。
僕もそう聞いて堪えてた涙が1つ2つと溢れてきた。
「絶対取り戻そうな。」
僕はそう呟いてまっすぐ前を向いて強く一歩を踏み出した。
ーーー
「あっつっ」
ヒラが声を大きくして言った。
「クワー!!」
「クワくんー!」
シーちゃんとユリちゃんも同じように声を出す。
山小屋は屋根まで炎が到達していた。
広野という立地から幸い今のところは他の場所には炎が燃え移ってはないようだった。
ただクワの姿が見えないー
声をかけても返事がない。
ヒラは服を脱いで近くの水溜まりに服をつけると自分の頭の上で絞った。
「探してくる。」
ヒラはそういうと2人に背を向けた。
シーちゃんは腕を握って止めようとしたけど、途中でつかもうとして挙げた腕を止めてしまった。
わかっていた。
ここで止めたらクワは戻ってこないし、止めなければヒラのリスクが高くなる。
「30秒経ったら戻ってきなさい。」
ユリちゃんが強く言うと、ヒラの腕にタイマーをセットした携帯電話を渡した。
「私、携帯、命だから。返してね。絶対。」
ユリちゃんはヒラの目を見て言った。
「わかった。」
ヒラはそう答えると勢いよく燃え盛る山小屋に入っていく。
「待って!!!」
シーちゃんが今までにない大きな声で叫ぶ。
「木陰に誰かいる!」
そう言うとシーちゃんはゆっくり木陰に近づく。
するとそこには顔を伏せてしゃがみこむすすだらけのクワの姿があった。
「クワくんいた!!」
ーーー
クワを見つけてから10分後、僕とヒマ、ハギにツユちゃんは燃え盛る山小屋到着した。
木陰に集まる4人の影を見つけて駆け寄った。
「クワ大丈夫!?」
1番に駆け寄ったのはツユちゃんだった。
「…ごめん。」
クワは下を向いたまま呟いた。
「そんなのいいの。ねぇ、こっち見て。」
ツユちゃんはしゃがみこんでクワの両肩をか細い両手で掴んだ。
クワはゆっくり顔をあげる。
目には涙が溢れていた。
「ごめん…ほんとに…」
震えるように泣くクワはまるで子どものようだった。
「俺がいると不幸が増えていくんだ…ハギは車に引かれて、ツユは病気になった。みんなを辛い思いさせた。自分が救われたいばかりに、勝手にこの山小屋にみんなを呼んでから、みんな不幸ばかりだ…ここに来る度に昔の自分の姿を思い出して、俺だけ幸せになっていることが許せなかった…」
クワは声をこもらせながら体をふるわせてゆっくり話した。
「だから、彼女がまた同じ過ちを犯すかもしれないと思ったら、もうこれ以上の不幸が続かないように終わらせようと思ったんだ。けど…できなかった。どんなに不幸でもそれでもみんなと一緒にいたいって…思ったんだ…」
クワは手に持つしーちゃんが描いた星空の絵を見ていた。
ツユちゃんはぐっとクワを胸に寄せた。
「大丈夫だよ…大丈夫だから。」
まるでお母さんのように優しく包み込む。
ツユちゃんの目には涙が溢れていた。
後ろからそっとハギもクワを包み込む。
「僕たちは居る。何があっても何度でも何度でも作り直せばいいんだよ。」
そう言うハギも涙が溢れていた。
そのほか僕らはそんな3人の姿をそっと見守っていた。
ー少し経って消防隊が来て消化を始めた。
僕らは消化される山小屋を少し離れて見ていた。
煙がたち込める隙間からは星がチラチラと見えた。
炎の燃える音が僕らの心の叫ぶ音をかき消すようで。
妙に落ち着いていた。
クワ、ハギ、ツユちゃんは鼻も目も真っ赤にしていた。
ある程度経つと消防隊と警察が僕らの元に来て、原因を知っているか。と尋ねてきた。
「それは…」
クワがしどろもどろに答えようとした時、後ろからカサッと物音がした。
「…私がやりました。故意的に。」
僕らは驚いて声のした後ろを振り向くと、そこにはあの看護師がいた。
「…ついでに色々話したいことがあるんですけど。」
看護師はそういうと、警察に両腕を差し出した。
「なんで…」
クワが目を丸くして彼女を見ていた。
「…悪かったよ。色々壊してしまって…私もクワくんと同じ。故意的ではなかったとしても、ずっとあの過去に囚われてずっと怯えてた。どれだけ楽しいことを追い求めても君と同じように過去の私の悪夢を見るの。もう、少しでも前に進みたい…」
看護師は眉を八の字にして、少し微笑みながら僕らの顔を見て言った。
「君たちみたいに楽しそうにしてる人達は別の世界の人だと思ってた。妬ましかった。憎かった。けど…元は一緒だったんだね…」
そういうと看護師は顔を下げて警察と歩いていった。
僕は歩いていく看護師の顔をみた。
看護師の笑顔を僕は初めて見た。
看護師と警察が居なくなったあと、僕らは山小屋の火が消えるまでその場に留まった。
全員1列に並んでただただ見ていた。
お互いにどのような思いを抱えていたのかは分からない。ただ、手を取り合って立っていた。
既に外は真っ暗で、ハギの持つ携帯の光を頼りに進んでいく。
闇の中を歩いているようで、不安と焦り震える足を1歩ずつ前に出す。
車が通る度に避けようとしてフラっと体がよろめく。
それでも1歩、また1歩と歩いていく。
「ハギ、シーちゃんに電話かけて状況がわかるようにして欲しい。」
僕はハギに頼んで携帯を繋げてもらった。
「ハーくん?」
「シーちゃん、今の状況教えて。」
ハギが冷静に話す。
「うん。えっと、あとちょっとで山小屋に着くと思う。暑いし炎が見える。ユリちゃんが消防車を呼んでくれてるんだけど…山の中で車が行けないからあと15分くらいかかるみたい…。」
シーちゃんは息が切れながらも丁寧に状況を教えてくれた。
「ありがとう。僕らもいま向かってる。電話はこのまま繋げておいて。」
ハギが話すとシーちゃんは「えっ」と驚いた反応をした。
「病室から出てるってこと??ツユちゃんも??」
「今行かないと。またみんなで星を見るんだろ?」
そういうハギの手には僕が枕の下に忍び込ませて置いた写真があった。
「これツッキーだろ?よく夢であの日の星空が出てきたんだよ。戻りたいって思ったら戻ってこれた。」
ハギは少し照れくさそうに話す。
僕もそう聞いて堪えてた涙が1つ2つと溢れてきた。
「絶対取り戻そうな。」
僕はそう呟いてまっすぐ前を向いて強く一歩を踏み出した。
ーーー
「あっつっ」
ヒラが声を大きくして言った。
「クワー!!」
「クワくんー!」
シーちゃんとユリちゃんも同じように声を出す。
山小屋は屋根まで炎が到達していた。
広野という立地から幸い今のところは他の場所には炎が燃え移ってはないようだった。
ただクワの姿が見えないー
声をかけても返事がない。
ヒラは服を脱いで近くの水溜まりに服をつけると自分の頭の上で絞った。
「探してくる。」
ヒラはそういうと2人に背を向けた。
シーちゃんは腕を握って止めようとしたけど、途中でつかもうとして挙げた腕を止めてしまった。
わかっていた。
ここで止めたらクワは戻ってこないし、止めなければヒラのリスクが高くなる。
「30秒経ったら戻ってきなさい。」
ユリちゃんが強く言うと、ヒラの腕にタイマーをセットした携帯電話を渡した。
「私、携帯、命だから。返してね。絶対。」
ユリちゃんはヒラの目を見て言った。
「わかった。」
ヒラはそう答えると勢いよく燃え盛る山小屋に入っていく。
「待って!!!」
シーちゃんが今までにない大きな声で叫ぶ。
「木陰に誰かいる!」
そう言うとシーちゃんはゆっくり木陰に近づく。
するとそこには顔を伏せてしゃがみこむすすだらけのクワの姿があった。
「クワくんいた!!」
ーーー
クワを見つけてから10分後、僕とヒマ、ハギにツユちゃんは燃え盛る山小屋到着した。
木陰に集まる4人の影を見つけて駆け寄った。
「クワ大丈夫!?」
1番に駆け寄ったのはツユちゃんだった。
「…ごめん。」
クワは下を向いたまま呟いた。
「そんなのいいの。ねぇ、こっち見て。」
ツユちゃんはしゃがみこんでクワの両肩をか細い両手で掴んだ。
クワはゆっくり顔をあげる。
目には涙が溢れていた。
「ごめん…ほんとに…」
震えるように泣くクワはまるで子どものようだった。
「俺がいると不幸が増えていくんだ…ハギは車に引かれて、ツユは病気になった。みんなを辛い思いさせた。自分が救われたいばかりに、勝手にこの山小屋にみんなを呼んでから、みんな不幸ばかりだ…ここに来る度に昔の自分の姿を思い出して、俺だけ幸せになっていることが許せなかった…」
クワは声をこもらせながら体をふるわせてゆっくり話した。
「だから、彼女がまた同じ過ちを犯すかもしれないと思ったら、もうこれ以上の不幸が続かないように終わらせようと思ったんだ。けど…できなかった。どんなに不幸でもそれでもみんなと一緒にいたいって…思ったんだ…」
クワは手に持つしーちゃんが描いた星空の絵を見ていた。
ツユちゃんはぐっとクワを胸に寄せた。
「大丈夫だよ…大丈夫だから。」
まるでお母さんのように優しく包み込む。
ツユちゃんの目には涙が溢れていた。
後ろからそっとハギもクワを包み込む。
「僕たちは居る。何があっても何度でも何度でも作り直せばいいんだよ。」
そう言うハギも涙が溢れていた。
そのほか僕らはそんな3人の姿をそっと見守っていた。
ー少し経って消防隊が来て消化を始めた。
僕らは消化される山小屋を少し離れて見ていた。
煙がたち込める隙間からは星がチラチラと見えた。
炎の燃える音が僕らの心の叫ぶ音をかき消すようで。
妙に落ち着いていた。
クワ、ハギ、ツユちゃんは鼻も目も真っ赤にしていた。
ある程度経つと消防隊と警察が僕らの元に来て、原因を知っているか。と尋ねてきた。
「それは…」
クワがしどろもどろに答えようとした時、後ろからカサッと物音がした。
「…私がやりました。故意的に。」
僕らは驚いて声のした後ろを振り向くと、そこにはあの看護師がいた。
「…ついでに色々話したいことがあるんですけど。」
看護師はそういうと、警察に両腕を差し出した。
「なんで…」
クワが目を丸くして彼女を見ていた。
「…悪かったよ。色々壊してしまって…私もクワくんと同じ。故意的ではなかったとしても、ずっとあの過去に囚われてずっと怯えてた。どれだけ楽しいことを追い求めても君と同じように過去の私の悪夢を見るの。もう、少しでも前に進みたい…」
看護師は眉を八の字にして、少し微笑みながら僕らの顔を見て言った。
「君たちみたいに楽しそうにしてる人達は別の世界の人だと思ってた。妬ましかった。憎かった。けど…元は一緒だったんだね…」
そういうと看護師は顔を下げて警察と歩いていった。
僕は歩いていく看護師の顔をみた。
看護師の笑顔を僕は初めて見た。
看護師と警察が居なくなったあと、僕らは山小屋の火が消えるまでその場に留まった。
全員1列に並んでただただ見ていた。
お互いにどのような思いを抱えていたのかは分からない。ただ、手を取り合って立っていた。