花束に囲まれた君が残したもの。
【あの夏の始まり】

ー夏に集まろうー

8年前の夏
僕らは中学2年生だった。
 
「もう少しで夏休みです。勉強はもちろん。はめ外しすぎないように大切に過ごしてください。」

先生がみんなの前で言った。同時にチャイムがなる。
 
僕は影っている廊下をみながら、窓枠に頬杖をつき、夏休みって退屈なんだよな…と思っていた。

特にと言ってやりたいこともないし、あれやこれやとやりたい趣味もないし、本や漫画、ゲームをして過ごそうか…

そんなことを思っていると、横に座っていた萩(月見 萩 つきみ はぎ)が「ねぇ!」と楽しそうに声をかけてきた。

「椿は何するの?夏休み。」

「…なんも考えてないよ。本読んだり?とか。」
僕は答える。

「相変わらずだねぇ。椿らしいというか。」

萩は僕の小学生からの友人だ。
好きな作家がたまたま一緒で、作家の話をするうちに仲良くなった。

「萩は何するつもり?」
僕は聞いたが答えは何となくわかっていた。

「作曲かな!やっぱ。20曲は作りたいんだ。」

萩の家は音楽一家ということもあり、萩も音楽センスを引き継いでいる。
作曲は小学生の時からやっており、何度か聴かせてもらったが、一般人が言うのもおかしいがプロ並みだ。
有名人になる人はこんな感じなのかななんて心の中で思っていた。

もちろんサインはもう貰った。
萩が有名になったら自慢しようと思っている。

自分勝手にそんなことを思っていると萩が聞いてきた。
 
「ちなみに8月10日って空いてる?」
 
僕は何も予定がないんだ。
空いてるに決まってる。
もちろんと答えると萩は嬉しそうに話し始めた。

「今年の8月10日は流星群が見れる日なんだって。それでね、みんなで星見て、その後花火しようよって話になってるんだ。どう?一緒に。」

なんだか青春だなぁとと他人事のように聞いてたから、まさか自分が誘われると思わず、ついぽかんとなってしまった。

少し考えて僕は聞いた。

「誰が行くの?」
僕にとっては大事な事だ。

何せ僕はコミュニケーションが苦手なんだ。

「僕と、ツユ、クワ…桑原。あと桑原がユリちゃん誘っているのと、ツユの友達のシオンちゃん、あとヒマちゃん!来るよ。もちろん呼びたい人いれば呼んでもらって大丈夫。」

幼なじみであるヒマのこと、他の人を呼んでいいことを誇張して言うものだから、僕のことを萩は見抜いてるなと思った。

「じゃあ…」
とたまたま廊下を歩いていた中1の時の友人、柊を窓枠越しから指を指す。

「8月10日空けておいてよ。」

柊はぽかんとした顔で「え、俺?」と言い、こっちを向いた。
柊はなぜ僕と仲良くしてくれているのか、分からないくらい陽キャでコミュニケーションの化け物だから、僕が困ったら何とかしてもらおうと思った。

ちゃんと後で柊には説明した。
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