第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
理性なんて、とっくに置き去りだ。
ただ走る。
間に合え。
間に合え。
間に合え――!
その時。
「……おい、なんだあれは」
「ま、魔宝獣……っ!」
魔宝獣。
よりによって、今かよ。
次の瞬間。
――ガシャァンッ!
耳を裂く破砕音。
廊下のガラスが粉々に砕け散り、
黒い影が飛び込んできた。
黒曜石のような毛並み。
剥き出しの牙。
狂気に濁った瞳。
咆哮が空気を震わせ、床石がビリビリと鳴る。
「……チッ」
足が止まりかけた、その刹那。
「ディラン殿下!」
「ここは俺たちが!」
アレンとロベルトが、迷いなく前へ飛び出した。
「加速する――トパーズ!」
アレンの剣が雷光をまとい、
黄色の閃光が床を裂く。
次の瞬間、彼の身体は稲妻のように魔宝獣へ突っ込んだ。
「支える力を――スモーキークォーツ!」
ロベルトが剣を地に突き立てる。
茶褐色の光が地面を走り、
分厚い土壁が轟音とともに立ち上がった。
魔宝獣の突進が、
土壁に激突する。
衝撃で空気が震え、砂塵が舞い上がる。
「ディラン殿下!」
「先へ行ってください!」
2人の背中が、言葉より雄弁に叫んでいた。
……くそ。
「――恩に着る!」
短く叫び、俺は再び走り出す。
剣も、魔宝獣も、
すべてを振り切って。
奪われる前に――必ず辿り着く。
ただ走る。
間に合え。
間に合え。
間に合え――!
その時。
「……おい、なんだあれは」
「ま、魔宝獣……っ!」
魔宝獣。
よりによって、今かよ。
次の瞬間。
――ガシャァンッ!
耳を裂く破砕音。
廊下のガラスが粉々に砕け散り、
黒い影が飛び込んできた。
黒曜石のような毛並み。
剥き出しの牙。
狂気に濁った瞳。
咆哮が空気を震わせ、床石がビリビリと鳴る。
「……チッ」
足が止まりかけた、その刹那。
「ディラン殿下!」
「ここは俺たちが!」
アレンとロベルトが、迷いなく前へ飛び出した。
「加速する――トパーズ!」
アレンの剣が雷光をまとい、
黄色の閃光が床を裂く。
次の瞬間、彼の身体は稲妻のように魔宝獣へ突っ込んだ。
「支える力を――スモーキークォーツ!」
ロベルトが剣を地に突き立てる。
茶褐色の光が地面を走り、
分厚い土壁が轟音とともに立ち上がった。
魔宝獣の突進が、
土壁に激突する。
衝撃で空気が震え、砂塵が舞い上がる。
「ディラン殿下!」
「先へ行ってください!」
2人の背中が、言葉より雄弁に叫んでいた。
……くそ。
「――恩に着る!」
短く叫び、俺は再び走り出す。
剣も、魔宝獣も、
すべてを振り切って。
奪われる前に――必ず辿り着く。