第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
ティアナside

テオの容赦のなさに、思わず身震いした。
胸の奥で、怖さと同時に、どこか安心感が芽生える。

「テオ、すごいや……でも、なんだろう。
 ちょっとグサッときた」

口に出した瞬間、心臓が少し跳ねた。
偽物があまりに本物そっくりで、心の奥まで揺さぶられたのだ。
そして、その偽物をテオが躊躇なく斬り捨てたことへの驚きと……
もしあれが自分だったらと思うと、普通にこわい。

「わかります。
 偽物ってわかってても、あんな似たものが来たら……俺でも躊躇します」

セナの声は冷静だけど、わずかに乱れていた。

「ほんとね。味方でよかったよ」

自然と口の端が上がる。

「激しく同意です」

セナも頷いた。
仲間が無事で、互いに支え合える安心感が胸を満たす。

魔術空間が解けると、テオはいつものように軽く笑いながら近づいてきた。
さっきまでの冷酷さが嘘みたいで、思わず視線が揺れる。
< 123 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop