第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
「あれ、なんか道、変わった!」
レオが目を丸くして先を指さす。
さっきまで崩れて塞がれていたはずの壁が、まるで最初から存在しなかったかのように開け、
柔らかな光の通路が現れていた。
「……なるほどね」
私は一歩踏み出し、空気を確かめる。
さっきまでまとわりついていた重苦しい魔力は消え、
迷宮そのものが静かに息をついているようだった。
「試練、突破ってことみたい」
剣を完全に収め、レオの方へ振り返る。
「進みましょう」
「おう!」
レオが元気よく応じ、私たちは並んで歩き出す。
その背後で、かすかに石が動く音がした。
振り返るまでもなく、来た道は静かに閉ざされていく。
まるで迷宮が、
“もう戻る必要はない”と告げているようだった。