第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

王子の苦悩

ディラン side

俺が城を離れていた、たったその隙に――事態は最悪の形で転がっていた。

ティアナに差し向けられた刺客。
ガーデンに現れた魔宝獣。
それを、ティアナとテオの二人だけで押しとどめたという。

そして、その元凶がジョルジュ陛下だと。

……認めたくなくても、事実だ。

くそ。

ティアナが無事だったことに胸を撫で下ろす気持ちはある。
だが、それ以上に――どうしようもなく黒い怒りが、胸の底からせり上がってくる。

俺がいないあいだに、彼女は命を狙われた。
俺が守るべき人間が、俺の知らないところで戦わされていた。

城へ戻った頃には、王妃教育はすでに中止されていた。
ティアナも、もう帰還しているらしい。

――俺のいない場所で。
俺の知らないところで。

その事実が、何よりも俺を苛立たせた。
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