第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
コンコン、と控えめなノックの音がした。
あれ……私、また寝てたんだ。
まぶたをこすりながら顔を上げると、部屋の空気がほんのり暖かい。
「殿下、お身体の調子はどうですか?」
「大丈夫だ」
低い声が返る。
その横で、レイさんが静かに頭を下げた。
「ティアナ様……おはようございます。よく休めましたか?」
少し驚いたように目を見開いたあと、
すぐにいつもの穏やかな微笑みに戻る。
「あ、はい……」
私は慌てて布団から抜け出し、ちょこんと正座した。
「とりあえず、しばらくはティアナ様もこちらでお過ごし下さい」
「しばらくですか……」
「ええ。身体も休めていただければ」
そう言った瞬間、横から腕が伸びてきて、
ディランが当然のように私の腰を抱き寄せ、頭にディランの顎が乗る。
「それはいい。しばらくとは言わず、ずっといればいいさ」
「お、重い……」
「それに、この怪我……君の騎士にやられたんだ」
「知っています」
「部下の責任を取るのは、主人の役目だ」
「なんてずる賢い……」
「そうだよ?」
悪びれもせず笑うその顔が、ほんとにずるい。
「それに、明日の夜あたりから雪が積もりそうだ」
言われてみれば、窓の外の空気は少し白んで見える。
確かに、寒い。
「…やることもたくさんある。
君の騎士たちもしばらくここにいて、復興の手伝いをしてくれると助かる」
レイさんが静かにうなずく。
その表情には、責任と覚悟がにじんでいた。
確かに……やるべきことは山ほどある。
私は深く息を吸い、ディランの腕の中で姿勢を正した。
「……わかりました」
あれ……私、また寝てたんだ。
まぶたをこすりながら顔を上げると、部屋の空気がほんのり暖かい。
「殿下、お身体の調子はどうですか?」
「大丈夫だ」
低い声が返る。
その横で、レイさんが静かに頭を下げた。
「ティアナ様……おはようございます。よく休めましたか?」
少し驚いたように目を見開いたあと、
すぐにいつもの穏やかな微笑みに戻る。
「あ、はい……」
私は慌てて布団から抜け出し、ちょこんと正座した。
「とりあえず、しばらくはティアナ様もこちらでお過ごし下さい」
「しばらくですか……」
「ええ。身体も休めていただければ」
そう言った瞬間、横から腕が伸びてきて、
ディランが当然のように私の腰を抱き寄せ、頭にディランの顎が乗る。
「それはいい。しばらくとは言わず、ずっといればいいさ」
「お、重い……」
「それに、この怪我……君の騎士にやられたんだ」
「知っています」
「部下の責任を取るのは、主人の役目だ」
「なんてずる賢い……」
「そうだよ?」
悪びれもせず笑うその顔が、ほんとにずるい。
「それに、明日の夜あたりから雪が積もりそうだ」
言われてみれば、窓の外の空気は少し白んで見える。
確かに、寒い。
「…やることもたくさんある。
君の騎士たちもしばらくここにいて、復興の手伝いをしてくれると助かる」
レイさんが静かにうなずく。
その表情には、責任と覚悟がにじんでいた。
確かに……やるべきことは山ほどある。
私は深く息を吸い、ディランの腕の中で姿勢を正した。
「……わかりました」