第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
あったかい。
頬に触れる空気も、背中に回された腕も、全部が心地いい。
ここは……どこだっけ。
まぶたをゆっくり持ち上げると、すぐ目の前で低い声が落ちてきた。
「おはよう。……いや、もう昼か」
寝起きの声なのに、どこか嬉しそうで、胸がくすぐったくなる。
「おはようございます。いつから起きてたんですか?」
「さっきだよ」
「ほんとですか?」
「本当だ。一時間ほど君を見つめてた」
「ながっ!」
思わず声が裏返る。
ディランは肩を揺らして笑った。
「見ていて飽きないんだよ」
「見ないでください、そんなに……」
視線をそらすと、彼の指先がそっと頬に触れた。
触れたところから熱が広がっていく。
「君が可愛すぎるのが悪い」
「……」
言葉が出ない。
胸の奥がじんわり熱くなる。
「ふふ。照れてるね」
「もう、起きますよ」
ディランの腕から抜け出そうと身体を起こした瞬間、
彼が小さく息を呑んだ。
「いってて……」
「大丈夫ですか?」
怪我が痛んだのかと思って振り返ると、
ぐいっと腕を引かれ、そのまま胸元に抱き寄せられた。
「ちょっと……!」
耳元で低く笑う声が落ちる。
「前に君もやっただろう? おあいこだ」
ほんと、ずるい人だ。
心臓が落ち着く暇をくれない。
「……少しだけですよ?」
「――ああ。もう少しだけ」
彼の腕の中は、さっきよりもあたたかかった。
頬に触れる空気も、背中に回された腕も、全部が心地いい。
ここは……どこだっけ。
まぶたをゆっくり持ち上げると、すぐ目の前で低い声が落ちてきた。
「おはよう。……いや、もう昼か」
寝起きの声なのに、どこか嬉しそうで、胸がくすぐったくなる。
「おはようございます。いつから起きてたんですか?」
「さっきだよ」
「ほんとですか?」
「本当だ。一時間ほど君を見つめてた」
「ながっ!」
思わず声が裏返る。
ディランは肩を揺らして笑った。
「見ていて飽きないんだよ」
「見ないでください、そんなに……」
視線をそらすと、彼の指先がそっと頬に触れた。
触れたところから熱が広がっていく。
「君が可愛すぎるのが悪い」
「……」
言葉が出ない。
胸の奥がじんわり熱くなる。
「ふふ。照れてるね」
「もう、起きますよ」
ディランの腕から抜け出そうと身体を起こした瞬間、
彼が小さく息を呑んだ。
「いってて……」
「大丈夫ですか?」
怪我が痛んだのかと思って振り返ると、
ぐいっと腕を引かれ、そのまま胸元に抱き寄せられた。
「ちょっと……!」
耳元で低く笑う声が落ちる。
「前に君もやっただろう? おあいこだ」
ほんと、ずるい人だ。
心臓が落ち着く暇をくれない。
「……少しだけですよ?」
「――ああ。もう少しだけ」
彼の腕の中は、さっきよりもあたたかかった。